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北イタリアとTMBの旅(21) TMBも大詰め、ラック・ブラン小屋へ

7月20日(土)晴れ午後曇り

さてTMBは最終局面を迎えました。
今日の宿はラックブラン小屋。評価の高い小屋で、シャモニー谷を挟んでモンブランの大氷河が目の前に広がり、ラックブランと言う小さな池があり湖面にモンブランを写すらしいです。期待!

ここまですでに 100Km近い距離を歩いてきました。
幸いお天気に恵まれ、雨具を着ることもなく順調に進んできました。
しかしこの最終クライマックスは体力的に最大の試練を要求してくることになりました。
目的のラックブランまで600m下降してから1000mの登高という今日のルート、疲れが蓄積した年寄り夫婦にとって最もハードなTMBとなるのでした。

早い時間に起床。
空の色が夜から明け方に変わる瞬間のブルーは綺麗です。
まだ眠りの底のシャモニーの街の灯が暗い谷に揺らめいています。
徐々に陽が昇り始めます。

氷河にうっすらモルゲンロートが当たります。
朝焼けのモンブランをカメラに収めます。
TMBに来て良かった、シャラミオン小屋に泊まって良かった・・・と、しみじみ実感できる一瞬でした。

朝食を済ませ、賑やかなスペイン青年に別れを告げ小屋を後にします。

早朝のスキー場から車道沿いにル・ツール村へ下ります。広い車道ですが結構な勾配で歩が進みますが、起き抜けの足に応えます。


体が温まり目覚めた頃ル・ツール村到着。昨夜泊まったシャラミオンへのゴンドラ麓駅のある村です。
何軒かホテルもあり、日本人のツアー客も見かけました。
ここからMontets峠へ向かう山道に入りました。
静かな樹林帯の山道、時々視界が開けてモンブランが顔を出します。

少し登ってまた下り・・・最後の登りを思うと、あまり下りは嬉しくないのですが、峠経由で登り返しなので辛いところです。
Montets峠手前の車道を横切ります。

さてこれからが最後の登りが始まります。
しばらく行くと二手に道が分かれました。
右はMontets峠へ、左は峠へ寄らない直登ルート。
左を取って斜面に取り付きました。

ここからつづら折れの苦しい登りが始まりました。
次第に展望は開け、パノラマが広がってきます。

じっくりと高度を稼いでゆきますが、簡単には先へ進めません。
途中抜きつ抜かれつしたグループの一人から声をかけられました。
怪しい関西弁を操る外人さん。フランス人らしい・・・。
「あと20分や!」
その後休憩で追いつくたびに「もう20分やで!」
しかし一向に傾斜は緩くなりません。
なんだこの外人、時間は20分しか知らんのか!
でも苦しい登りを和らげてくれる楽しい出会いになりました。
結局20分はずーっと数時間続いて行くことになりました。

急勾配のジグザク道から好展望のパノラマ路にやっと這い上がってからも、高度を下げることなく勾配が続きました。
時々現れる休憩ポイントの絶景が疲れた体を癒してくれます。

エギューユ・ルージュの大岩峰のふところに広がるお花畑の中の山道。

出だしの急登ですでにバテバテ!の二人にはここからさらに延々と登り道が続きます。
岩が連なる尾根の彼方、遥か上方に小屋を確認。ラック・ブラン小屋です。
小屋の姿は小さく、高度差もだいぶありそうです。
疲れがドッと出てきました

いくつか小さな湖が出てきました。
シェズリーの湖沼群です。
湖を展望する岩の上で小休止。
お腹が空きました。今日は途中で適当にランチのできる小屋がありません。
目的地のラック・ブランまでランチにはありつけません。

ここでとっておきの羊羹登場。
出国前日にお参りした成田山の米谷本店でお守りがわりに買っておいたものです。
さあこれで糖分補給、最後の力を振り絞ります。

小屋まではもう一息ですが、鉄梯子が出て来たり、大きなステップの階段があったりまだまだ試練は続きます。
最後の最後大きな岩を回り込んだところに小屋が現れました。


疲れたぁ。
でも途中昨日会った三重のグループと小屋で再開したり、まあ今日も充実してました。
まずはハードな登りは完了です。


まだチェックイン前なのでテラスでランチを注文。
下戸な夫婦はコーラの一気飲みで乾杯!

長かった道のりを振り返りました。
まだ明日がありますけど・・・・


ラック・ブラン小屋はTMBルートの中でも特に人気の高い山小屋です。
その理由は小屋の立地にあります。

小屋からはシャモニーの谷を隔てたモンブラン山群の大パノラマが一望できます。
小屋のすぐそばのラック・ブラン湖に映るその姿は美しく、フォトジェニックでインスタ映えは最高です。

小さな小屋で設備も食事も最高レベルとは言えませんが、ロケの良さがピカイチです。
残念ながらこの日は雲が多くスッキリした大パノラマの夕日を望むことはできませんでした。
でもそんなことは些細なこと、TMBを歩き通してやってきた満足感に十分応えてくれる最高の山小屋でした。

明日のTMB最終日はほぼ下りでシャモニーからクールマイヨールに戻ります。
さてどんな結末を迎えるかワクワクしながら床につきました。


歩行距離:9.3km
最高高度;2356m
累計高度:1078m
累計下降高度:637m

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