ローマとフィレンツェの間の移動にはFSイタリア国鉄のユーロスターを使いました。FSのユーロスターはさらに進化してAV(Alta Verocita’ アルタ・ヴェロチタ)という高速鉄道になっています。
イタリア版新幹線のユーロスターAVは、ローマとフィレンツェを約1時間半で走り抜けます。
事前に格安のチケットを入手しました。インターネットのFSサイトで時間を調べているうちに、簡単にチケットが買えることが分かったのです。しかも早割チケットのような仕組みがあることも判明、ネットでチケットを手に入れることができました。
フィレンツェ―ローマ間は2等通常料金45ユーロなのですが、19ユーロという信じられない安いチケットを得ることができました。帰りの便はこのチケット枠が手に入らずに35ユーロでした。トータルすると40%も割り引かれた事になります。決済はクレジットカードで行います。そうするとeチケットが発行されるので、面倒な駅での発券作業がいらなくなります。
イタリアの駅で窓口で切符を買うには忍耐力が必要です。時間ギリギリに行ったらまずアウトです。自動券売機もありますが、なんだかさっぱり分からずに終わってしまう危険性もあります。結果としてeチケットは正解だったと思います。
これがローマからフィレンツェまで乗ったAVです。Frecciarossa「赤い矢」号です。機材はETR500で最高時速は300Km/h以上と高性能な車両です。でも汚い。掃除してるのかな・・・?
新幹線に比べて落ち着いた内装の車内です。座席配置は左右2列づつ、4席で1ボックス、向かい合わせの中央に大きなテーブルがあります。出入りが楽なようにテーブルは一部が折りたため、幅が狭くなるようになっています。
シートは大柄な西洋人が楽に座れるサイズで、バックレストが高く幅もゆったりしています。ざっくりしたファブリックの表面は落ち着いたカラーで、心身ともリラックスできます。
車窓にはイタリアの田園風景が広がりますが、残念、窓が非常に汚くて、折角の美しい景色が台無しになっていました。まあこれがイタリアなのですね。スイス山岳鉄道のチリ一つ無いクリアなウインドウとは対照的でした。
車掌が巡回してきました。eチケットのチェックは何なやら端末に番号を打ち込んで簡単に済みました。外人にとって事前入手のeチケットは大変有効な手段です。
車両の端にはモニターがあり、走行している列車の情報が表示されていました。地図には多分GPSで現在地を示す赤い矢印や、次駅、走行速度など必要な情報が盛りだくさん表示されていました。
フィレンツェからローマへ戻る時に乗車したAVはFrecciargent「銀の矢」号でした。こちらの機材はETR600で少しデザインが違います。速度はETR500の方が早いらしいですが、内装などに大きな変化は無いようです。
車窓を見ていて気がついたのですが、ユーロスターはところどころ専用軌道を走るようで、在来線が並行して走っている部分がありました。完璧に新線にせずに、少ない費用と最小限の環境破壊で高速移動を実現しているのですね。
イタリアでは在来線にも乗りました。たまたまイタリア在住経験者の世話で機械でチケットを買うことができましたが、知らないと切符を買うのに苦労しそうです。そのあと日付の刻印を入れなければならないのは他の欧州の鉄道と同じですね。近郊の在来線では一度も車掌が現れなかったし、駅でも駅員に切符の提示を求められることはありませんでした。
ただ一度だけ地下鉄の出口で利用者全員のチケット検査をしていたことがありました。抜き打ちで痛い目に合わないように、しっかり切符は確保して、日付をちゃんと刻印しておきましょう。
おまけの画像です。ローマのテルミニ駅に停車中のETR450形。レトロなデザインですね。第二次大戦時の戦闘機みたいなリベット止めの窓枠、時代がかったエクスストリームライン、色目から鉄人28号を連想してしまいました。
イタリア国鉄に乗ったのは初めてではありません。30年も前にパリからミラノまで鉄道で移動したことがあります。でもその時の記憶は真っ白です。あらためて最新の列車の旅を経験しました。そこに鉄道員のテーマが流れてくるような風景はありませんでした。テルミニ駅は喧噪の中にありました。