7月6日(水)サッソルンゴを一回り。前代未聞のゴンドラ体験。
朝一番のサッソルンゴは朝日に照らされ燃えていました。
今日はここを攻めてみたいと思います。
まあ岩登りはしないので隙間を抜けてくるだけですが、ちょっとしたイベントが待っているのです。
それは後ほどのお楽しみ。
バス停までの下り坂、ドピーカンにサッソルンゴの頂がくっきりと。
天気は問題なさそうです。
今日は反対方面、峠へ向かう登り車線でバスを待ちます。
行先はパッソ・セッラ、セラ峠です。
バスはこの好天を待ち望んだハイカーですでに多くの席が埋まってます。
さらにセルバで大量の乗客がなだれ込み、ほぼ満席状態で峠へ向かいました。
パッソ・セッラも人で溢れてます。
駐車場も目一杯。今日はにぎやかな1日になりそうです。
レストハウスの背後に聳え立つサッソルンゴ。左端の峰はサッソピアットです。
右側の鞍部めがけてゴンドラで上がります。
鞍部めがけて一直線にワイヤーロープが伸びています。
そこに妙なものがぶら下がってます。
これが噂のサッソルンゴのゴンドラです。
電話ボックス?
それにしても異様な形状です。
実はこのゴンドラ、立って乗るゴンドラなのです。
定員は2人。太めの外人が2人乗ると身動きが取れないくらいのスペースです。
そのゴンドラに乗り込むには大変な儀式が待っているのです。
ゴンドラは動きっ放し。停車しません。
乗客の2人は少し離れた位置でゴンドラを待ちます。
そして一人づつ、ゆっくりですが動き続けるゴンドラに、小走りで追いかけながら飛び乗ります。
実際は、屈強な係員が力づくで乗客を押し込む、という図式になりますが。
妻がゴンドラへ押し込まれてます。
「いつの間にか宙に浮いて、気付いたらゴンドラに収まっていた」
とのこと。
まずは無事に乗り込むことが出来ました。
ゴンドラはゆっくりと高度を稼いで行きます。
マルモラーダの雪の斜面が眩しく輝いてます。
ぐんぐん高度を上げ、サッソルンゴの岩肌が間近に迫ってきます。
この形のゴンドラはコルティナのクリスタッロにもあります。
狭い谷筋、風も強く吹くために、あおられてもなるべく揺れないような構造を追求した結果、このような特異な形状のゴンドラになったようです。
狭いですがスリムな我々?には十分なスペース。お互いの位置を入れ替えること可能でした。
さて山頂駅が近づいてきました。
最後の儀式が待ってます。
降りないといけません。
乗車の時と同様にゴンドラは止まってくれません。
飛び降りて、走って・・・・
と考える間も無く次の瞬間、二人は引き摺り下ろされ、無事に大地を踏むことが出来ました。
まあ心配することもなく、係りの人がなんとかしてくれます。
これから経験しようとする方、ご安心ください。
狭い鞍部にはT.Demez小屋が建ってました。
ここでトイレを使わせてもらい、いよいよもう一つのハイライトに向かいます。
鞍部の反対側に抜けるのです。
急峻な岩場の下りです。
でも心配はありません。足場はしっかりしていて子供もたくさん歩いてます。
とは言うものの怖がりの妻は慎重に下り始めました。
両側から岸壁が迫る谷底を下りるので、高度感はそれほどありません。
精神的な圧迫感が少ないのが何よりです。
それでも一歩一歩確実に歩を進めます。
岩陰にはまだ雪渓が残ります。
気温が上がってグズグズです。滑らないよう慎重に。
急降下はまだしばらく続きます。
谷の隙間には昨日歩いたシウジの緑が広がってます。
振り返るとこんな斜面。多くのハイカーが次々と降りてきます。
気を抜けない降下をもう一踏ん張り。
雪も再び現れますが、ずいぶん谷底が近くなってきました。
振り返るとスタート地点ははるか彼方。
傾斜は落ち着き、足元の良い整備された道になると、もう一安心です。
ガラガラの谷筋をしばらく行くと小屋が現れてきました。
ヴィチェンツァ小屋です。
サッソルンゴを越えてきた人、シウジ高原からこの小屋を目指してきた人などで賑わう人気の山小屋です。
ここでカプチーノタイム。
今越えてきた急峻な谷筋を見上げると、左右から迫る大岩壁の迫力に思わず歓声をあげたくなります。
小さく心の声で・・・「ヤッホー」
小屋を後に525番、526番の東回りでサッソルンゴの中腹周遊ルートを取ります。
北の展望が一気に開けてきます。
今日もガイスラー周辺は良い天気です。
先ほどの小屋がどんどん高みに遠ざかり、小さくなりました。
526番に入ると道の勾配は落ち着き、山腹の巻道になります。
山腹とはいえサッソルンゴの岩壁のすぐ下を行きます。
岩壁下の岩屑が堆積した斜面ですが、緑で青々としています。
牛たちはこの岩壁直下まで餌を求めて移動して行くのでしょうね。
ちょっとしたピークを上りきるとそこは526Bの分岐点。
初日の夕方上がってきた2つ目のリフト駅Monten de seuraまで下りる道です。
ここからホテルの町まですぐに降りることができますが、今日はこのままさらにサッソルンゴの周りを歩くことにします。
岩壁の裾から離れて、放牧地との境目ののんびりした道を行きます。
大きな岩のゴロゴロした道に変わります。
また岩壁が近づいてきました。
崩壊が激しいのか緑が消え、無機質なガラ場の道になりました。
巨大な岩壁に吸い込まれるように道が続いて行きます。
まだ大きな雪渓が残っていてそれを巻いたり、のしかかるように迫る岩壁直下を歩いたり、変化のある道が続きます。
北八ツの坪庭みたいにゴロゴロと岩が重なるちょっと歩きにくい道を抜けると、セラ山群がどっしりと現れてきました。
草原が明るく広がり、たくさんの人で賑わうコミーチ小屋が見えてきました。
コミーチ小屋で昼食。
そこから起点のパッソセッラまでまだ1時間ほどの行程が残ってました。
サッソルンゴの北面のゆったりした草地にセラ峠へ続く1本道が伸びてます。
すぐ前にそびえるセラの山々を堪能しながら緩い勾配を進みます。
ちょっとした峠を越え、サッソルンゴの例のゴンドラの下をくぐって、パッソセッラのバス停へ戻りました。
まだ時間があるので、ここでそのままホテルには戻らず、さらに奥のポルドイ峠までバスで上がってみることにました。
さすがに再奥の峠を走るバス便は少なく、次の峠行きに乗って、1時間後のポルドイ峠発に乗るというとんぼ返りです。
ポルドイ峠までの街道はサイクリスト、バイクライダーの天国のようでした。
この地で行われる有名な自転車レース、ジロディタリアは毎年この周辺の峠道をコースに設定します。
その峠の中で象徴的なのがポルドイ峠です。
ここにはイタリアの自転車選手の中でも最も尊敬されているファウスト・コッピのモニュメントが設置されているのです。
峠にはポルドイ山を背景に偉大な選手のモニュメントが置かれていました。
サイクリストが記念写真を撮っていました。
さてポルドイ山へロープウエィで上がろうか悩みましたが時間切れもありと判断。
今来た折り返しのバスに飛び乗りました。
帰りのバスは超満員。
オルティゼィまでの直行なので尚更です。
途中セルバで満員のバスを降り、続いて来ていた350番の路線バスでゆったりとサンタクリスティーナに戻ることができました。
サッソルンゴをめぐる山旅。
なかなか変化に富んだ面白いルートでした。
ドローミティの核心へ、少し分け入った1日になりました。
今夜も楽しいディナーが待ち構えてました。
一品紹介。
グリーンのニョッキです。ほうれん草のニョッキでしょうか。チーズの効いたクリームソースが絶妙でした。
ちなみにこのホテルはレストランを経営してます。地元では評判のレストランのようでした。
今夜のサッソルンゴは赤く染まりました。
明日はさらに良い天気が期待できそうです。