7月5日(火)シウジ高原を歩く(東側編)
白い夕焼けは悪い前兆では無いようでした。
今朝も雲は多めなものの深刻な悪天にはならない気配です。
このところ夕立にもあっていません。
それでも油断は出来ないので、様子見パート2でシウジ高原へ上がることにしました。
いつものバス停から今日もオルティゼイに出ます。
このバス停前に気になるパン屋さんがあります。
いつも車が満車。マイカー族はここでお昼を仕入れて行くらしいのです。
いつかこのパン屋でパニーノを買いましょう。
ついでに余談。
イタリアだけでは無いようですが、駐車はほとんど前向きです。
日本では出る時を考えて皆バックで駐車します。前向き駐車!とお願いしてあってもしっかりバックで入る車が目立ちます。
どういう理由か分かりません。国民性・・・民族性なのでしょうか。
この停め方に喜んでいるのは妻。彼女はバックが苦手で、どんな駐車場でも前向きに停めるのです。
オルティゼィでバスを降り、昨日とは反対方向に道を取ります。
今日向かうのは南に広がるシウジ高原です。
ここは欧州最大の放牧地と言われる広大なアルプが広がる高原だそうです。
楽しみです。
ゴンドラで高原の端まで上がります。
このゴンドラも例のカードで乗ることができました。
ゴンドラは球形。面白いのは中央の天井から吊革?がぶら下がること。
立ち乗りギリギリまで乗せるのですね。
ホームグラウンドの入笠山ではきっちり座って定員乗車です。
シウジ高原の第一歩は標高約2000mのMont Sëuc。
ここから高原を9番で南下シウジの東の中心サルトリアを目指してみることにしました。
標高はそこそこありますが針葉樹も混ざる高原の北端からのスタートです。
程なく高原の全容が目に飛び込んできます。
カメラの写角では全てを写し込むことができません。この写真のようにウネウネとした地形が視角の端から端まで続いているのです。
見たところ意外と高低差があり、森もあちこちに広がっていて、だだっ広い高原のイメージは消え去りました。
1700mくらいから2000mを超える高さまで、変化に富んだ地形だったのです。
ゆっくりと高度を下げながら広大な牧草地を行きます。
ところどころ点在する作業小屋が単調な緑の原を引き締めるアクセントになっていました。
牛や馬が自由に草を食む草原は咲き出した花でいっぱいです。
日本の高山では手厚く保護されているような高山植物も、ここでは放牧されている牛たちのご馳走になります。
これはスイスでも同じでした。
シウジ高原は周囲を名峰に囲まれた盆地のような高原です・・・?
進む方向により有名な山々が背景のように展開します。
今日は南に向かって歩いてます。進行斜め左にはシンボルのサッソピアットが雲の切れ目から覗いてます。
残念ながらサッソルンゴはまだ雲の中で全容は見えていませんでした。
広大な放牧地ですが柵で仕切られ、管理されています。
トレッキングルートが柵を横切るポイントにはゲートが設けられています。
ゲートには様々なスタイルがあり、開け閉めは手動なのですが、中には自動で閉まるような仕掛けを施したものもあります。
今回幾つかのパターンを見たのですが、これは石を錘にして閉まるようにした仕掛け。
仕切りの柵には電柵もあります。
試しに触ってみたところ、ぴっと軽い衝撃。
ちゃんと通電してました。でも命に関わるような高電圧ではありませんでした。
雲が切れてきてサッソルンゴが現れました。
お花畑のトレッキングルートは穏やかに続きます。
道は黒木の森に入り、高度をどんどん下げ始めました。
森から再び草原に入り視界が開けてくると、最初の目的ポイント、サルトリアが見えてきました。
サルトリアで一息入れます。
この辺りの標高は1700m。高原の中でも谷底で、ここまでは西の中心コンパッチからバス便が通じてます。
サルトリアからはリフトがあって、2100m地点の少し南の山小屋まで楽して上がることができます。
ここは歩いて踏ん張りましょう。
リフト乗り場をやり過ごし、30番を少し東に進んだところで7Aに入りました。
Zallingerヒュッテまでリフトに沿うように緑の放牧地を上がります。
結構な勾配です。冬は恰好のゲレンデと化すのでしょうね。
サッソルンゴ、サッソピアットが端正なピラミッドになり仲良く肩を並べてます。
振り返ると昨日登ったガイスラーの山々。
今日は天気が良くて気持ちよさそう。
放牧の動物に親近感を覚える妻は、子馬さんにご挨拶。
放牧されていた牛や馬たちは概して友好的で、積極的にコミュニケーションに応えてくれてました。
標高差約300mを登りきりリフトの終点を右手に見ながら7番の広い道に出ました。
Zallingerヒュッテ手前で7番と別れ9Aに入ります。次の目標はMurmeltierヒュッテ。
一旦高度を下げて湿原の中に木道が現れました。
湿原的な風景は懐かしいです。
カラッとした山を連想したドロミーティにも緑豊かな湿原があるのですね。
フウロソウがこれでもかと咲き誇ってました。
サッソルンゴの西麓の見晴らしの良いロケーションにMurmeltierヒュッテがありました。
ここで昼食。小屋のテラスには入らず、そばにあったベンチでランチ。
ランチの内容を紹介します。
まずはパン。町のスーパーで見かけたロールパン。チョコ味とシナモン味があり、意外と食べやすくお気に入りでした。日持ちがするので非常食代わりとしても持ち歩いてました。
ジュースはACE。
オレンジやレモンに人参など野菜入り。
ビタミンACEが豊富だとのこと。
結構ハマる味で、ホテルの朝食のジュースもACEは定番でした。
桃。
イタリア(欧州全般)では桃の品種が沢山あります。スモモ系、ネクタリン系、プラム系、そして日本で見かけるような白桃系など。
今日はネクタリン系の黄桃。これうまいんです。しかも安い。
余談ですが見慣れた白桃を平たく押しつぶしたような桃がありました。
これが絶品なのです。結構実がしまっていて歯ごたえもあります。しかも糖度が高い。
よく洗って皮ごと食べます。
扁平なので齧りやすいのです。
欧州で見かけたら是非食してみてください。
オススメです。
エネルギーを補填して行動再開。
小屋から9Aでサッソピアットの腹を巻く527番まで上がります。
ドロミーティでよく見かけたクレマチス。
入笠山でも見かけるミヤマハンショウヅルとよく似ています。
ここのは結構立派な株でした。
さてひと登りで527番。ここから南へ向かいます。
シウジ高原の西端、シリアル山の平たい山容を望めます。シリアル山はテーブルマウンテンなのですね。
気持ちの良いトラバース道は9番の車も走れる広い道に合流しました。
この道が曲者です。
広くて立派な道ですが、勾配が半端ではありません。
ジグザクを切り返す登山道とは違い、尾根筋を強引に直線的に切り開いているので、見た目とは裏腹に歩行者を苦しめる辛い勾配が待っているのです。
それでも1歩1歩踏ん張りながら、峠へたどり着きました。
ここはサッソピアットの南の外れ、左手にはサッソピアットの岩の斜面が広がります。
南面は穏やかでお皿のような山肌なのでピアット(イタリア語でお皿)なのです。
ファッサ峠(でいいのかな)から今まで見ることのなかった南方面の山を望むことができました。
雪を抱いているのは主峰マルモラーダでしょうか。
今回はファッサ谷には入れませんがいずれ機会があったら訪れてみたい山域です。
峠を後に急な9番を引き返します。
Zallingerヒュッテまで見晴らしの良い尾根筋歩きを楽しんで、最終目的モンテパナ目指して531番を辿ります。
悠々とした草地をノンビリ歩きます。
サッソピアット、サッソルンゴが間近に迫り、青々とした牧草地とのコントラストが鮮やかです。
ここでも妻は牛さんとコミュニケーション。
すっかり彼女は牛さんの心をつかむ術を心得たようです。
サッソルンゴとサッソピアットの間の深い切れ込みがはっきり見えます。
多分明日はこの鞍部を歩くことになるでしょう。
牧草地が途切れて、道は樹林帯へ。
この辺の黒木はほとんどが樅。日本でも樅は大木ですが、こちらの樅はさらに外人サイズ。
諏訪の人たちが見たら小躍りして喜びそうな大木がゴロゴロ。
御柱だらけの山なのでした。
単調な道に飽きてきました。
歩数はすでに3万歩超。
やっとモンテパナに到着。
ここからリフトで街に直行です。
リフトからはこじんまりした山の町が一望できました。
お天気に恵まれた良い1日になりました。
少しづつですがこの地域の山の姿が分かってきました。
明日はサッソルンゴでちょっぴりスリルを味わってみたいと思います。
ホテルで待っていた今夜のメニュー。
今日も美味しくいただきました。
その中の1品。
ピーチメルバのジェラート添えでした。
ブゥオーノ!
今日もまたまた白い夕焼け。
明日のお天気は・・・おやすみなさい。