東京を離れる前に文化的な思い出第2弾。今日はサントリーホールへコンサートを鑑賞に行きました。
日本フィルの名曲コンサート。今年から主席指揮者になったロシアのアレクサンドル・ラザレフの就任お披露目コンサートです。チャイコフスキーのバイオリンコンチェルトと、ドボルジャークの新世界という新年ご祝儀一杯!的な曲目です。しばらく気軽にコンサートにも行けなくなるので、頑張って出掛けた次第です。
チケットを購入するときに面白い企画があることに気がつきました。オーケストラ探検隊という企画です。普段は見られない楽屋裏や練習風景が、現役音楽評論家の解説付きで見学出来るのです。
誰でもと言う訳ではなく、事前に申し込む必要があります。先着順です。チケットと同時に申し込んで見たら、OKとの案内が来ました。
2時半からの演奏会ですが、探検隊の集合は11時30分。約2時間のコースと言うことで期待が高まります。
早めに家を出て六本木へ。ストレートに行ったのではつまらないので、国会議事堂で地下鉄を降りて、議事堂の回りを一回りして、首相官邸を横目で見て、とことこ歩いて目的のホールへ向かいました。
ちょうどお昼にかかる時間帯なので、少し腹ごしらえをすることにしました。ホール向かいのオーカバナルというカフェレストランへ入りました。ランチサービスはまだなのでうまそうなフランスパンのサンドイッチを買って、カフェで食べます。美味しいです。
時間なので集合場所の楽屋口へ。そこで点呼。入門票を渡され、いよいよ裏口から館内へ入りました。楽屋が並ぶ狭い通路を抜け、エレベータで1階へ上がると、そこはホールの正面ロビーでした。
用意された椅子に腰掛けて、しばらく待ちます。30人くらいでしょうか。
やがて探検隊長の到着、挨拶、そしていよいよ探検開始。
冒頭は音楽評論家の肩書きを持つ奥田隊長のプログラム解説。ユーモアを交えた流暢な語りです。指揮者や今日の独奏者の話など、どんどん話題が膨らみます。
一通り解説が済んだところで、本日のサプライズ。ラザレフ・日本フィルのサントリーホール初日と言うことで、「フォトセッション」、つまり楽団員と指揮者が全員正装し写真に収まる作業の進行を見ることが出来るというのです。
2階に上がり、狭い専用通路を上がって映写室に入りました。そこからガラス越しにステージが一望出来ます。黒の燕尾服に身を包んだ指揮者と楽団員がカメラマンの指示に従って、横を向いたり、楽器を持ち上げたり、笑顔を作ったりしています。
この写真が以後楽団の正式な広報用のオリジナル写真になると言うことで、貴重な場面を見せて頂きました。
そのあと再び楽屋方面へ移動。搬入口、ピアノ保管室(ベーゼンドルファーやスタインウエイのフルコンサートが調湿された部屋に鎮座してました)など見たあと、ステージの袖へ向かいました。
袖の扉の狭い窓を通して、すぐそばで練習する光景を見せて頂きました。指揮者の顔も、真剣な演奏者の顔も、すぐそばにありました。
一通り裏方を巡ったあとは2階席でのゲネプロ(通し稽古)を見せて頂きました。本日の独奏者、バイオリンの山田晃子嬢が私服で最後の調整です。彼女は2歳の頃からパリに行き、以来彼の地で勉強し活躍している新進気鋭の若手バイオリニストです。
ゲネプロが済んで再びロビーで講義。と、その時山田嬢が現れました。これも探検隊が用意してくれたサプライズ。普段着のままの彼女が、奥田氏の質問に答える形でいろいろ近況を語ってくれました。最後に「皆さんの顔を思い浮かべながら演奏します!」とサービスでも嬉しくなる言葉を残して楽屋に戻って行きました。
楽しい経験でした。クラシックはまるっきり素人の妻にとっても貴重な体験でした。前回の能・狂言では不覚にも瞼が閉じる時間がありましたが、今回は事前の刷り込みが功を奏しそうです。
コンサートは素晴らしい内容でした。オーバーアクション気味のラザレフ氏に引っ張られるようにオケも盛りあがり、時間を忘れる、眠気も吹っ飛ぶ2時間でした。
山田さんのコンチェルトも立派でした。私は少し優等生的なお上品な感じに聞こえたのですが、妻は「凄い!良かった!」と大絶賛。まあ、瞼が終始分離していたようなので、間違いないでしょう。
新世界もなかなかでした。
久しぶりのオーケストラ。我が家のオーディオでは再現できないダイナミックレンジで聞く生演奏はやっぱり良いですねえ。
さあ、Casa Milleではあんまり近所に家もないし、ここは一番、コンサートホール並みの音量でフルオーケストラでも鳴らしてみますか。