2007年6月26日(火)
第6日目 サンモリッツ–>スールレイ–>コルヴァッチ–>ムルテル–>スールレイ峠–>ホテル・ロゼック・グレッチャー–>ポントレジーナ–>サンモリッツ
Part2
ロープウエイの中間駅ムルテルで外へ出る。
広いカールの底の様な所だ。中央アルプスの宝剣みたいな雰囲気も漂う。今回たびたびいろんな風景の中で、日本の山の景色と置き換える作業をしている自分に気づく。妻も同様に「・・・みたい」と日本のある地名が出てくる。Nさんご夫妻も「・・・ではずっと槍ヶ岳を見ながら歩く・・・」と、形の似ている日本の山を引き合いに出す。確かに日本アルプスとはよく言ったもので、スケールの大小はあるが、スイスを歩いていて、ふとアルプスの風景に重なる場面が数多くあった。その尺度で見ると、ケーブル終点が宝剣で、これから向かうスールレイ峠への道は立山は室堂付近と言ったところだ。
広大なカールの底から、緩やかに伸びる登山道が峠の小屋に通じている。絶対的な降雪量の差で、立山のような残雪は少なく、岩と背の低い緑の斜面が広がるので、標高が高い雰囲気が少ないが、今降りてきたコルヴァッチ方面を見ると、氷河の末端が谷を下ってきていて、アルプスなんだと再認識させられる。
峠方面を目指すハイカーもそう多くはないので静かだ。でも峠が近づいて、道の傾斜が少し強くなる頃、熟年のパーティーの列に追いついた。還暦はとっくに過ぎた男女のパーティーで、それぞれ自分のペースでアルプスを楽しんでいる。
右手に小屋が大きく見えてきて、最後の少し急な所を登りきると、眼の前の景色が一転した。氷河を抱いた山々の大パノラマがそこにあった。
ロゼック谷をはさんで、ピッツバリューを主峰とするベルニナの巨人が眼の前に迫っている。コルヴァッチで見た それらよりも、下から見上げるだけに迫力が増す。
峠の小屋は閉まっていた。スープを飲んで見たかったのに残念。天気は良いが風が強いので小屋の大きなデッキの陽だまりで昼食をとる事にした。さっき追いついた熟年パーティーと一緒だ。彼らはドイツから来ているという。シルヴァプラーナに泊まっているらしい。どうもこの先ロゼック谷へ向かうようだ。
彼らは陽気で、食事に間も賑やかだ。小さな掌に入るほどのホルンを持ち出して演奏を始めた。それはPTTバスのロゴのようなくるっと一巻きしたデザインの可愛いもので、音色はちゃんとホルン。遠くベルニナの山にこだまして、澄んだ音色を響かせていた。
絶景の展望とハムとチーズのサンドイッチをお腹一杯食べ、さあもう一仕事、いざロゼック谷目指して下山を開始する。大きなU字型のロゼック谷には幾筋にも分かれたロゼック川が流れ、その上流には幾つかの氷河、そして4000m級の山々。絶景のパノラマコースが我々を待っていた。
続く