2007年6月26日(火)
第6日目 サンモリッツ–>スールレイ–>コルヴァッチ–>ムルテル–>スールレイ峠–>ホテル・ロゼック・グレッチャー–>ポントレジーナ–>サンモリッツ
Part1
今回の旅は一箇所に長く滞在する定点型にした。駆け足で風のように各地を効率良く回るやり方もあるが、じっくり気に入った所に居座って、その地域を隅々まで知り尽くすことも、旅の大きな魅力だからだ。サンモリッツはその目的では格好の拠点だ。今回5泊する。
同じような目的で旅を続けている人に今回たくさん出会った。たまたま同じホテルに宿泊していたN御夫妻がそうだった。夕食の時に知り合いになった。聞くと我々と同じく5泊だという。1日前に着いてるので、4日間いろいろ情報を交換しあうことができた。N夫人は行動的な方だ。彼女は日本を出る時に得られる情報は最大限入手し、現地に着くといち早く地域の交通情報などを収集していた。私もかなり事前に情報は仕入れたつもりだったが、上には上がいた。旦那さんはニコニコしながら専属のツアコンに全幅の信頼をおいて旅を楽しまれていた。
そのNさん御夫妻に今回はたくさんの情報をいただいた。彼らはすでにサンモリッツのリピーターで、スイス大好き御夫婦だったのだ。実はこの後、もう1組の御夫婦とドラマチックな出会いをするのだが、こちらも超の付くスイスフリーク熟年ペアだった。この件に関しては後で述べる事にする。
この日の朝食の時にある大きな情報をいただいた。それはエンガディン・パスと呼ばれるリージョナルパスがホテルの宿泊者に提供されると言うものだった。2泊以上連泊者が対象なので権利があることが判明。早速交渉に行く。100フランのデポジットを要求されたが、無事に手に入れることが出来た。これがあればこの地域のほとんどの交通機関がフリーパスになる。列車はスイスパスがあるので良いのだが、ロープウエイがフリーになるのは嬉しい。知らずに昨日はディアボレッツァに半額出して乗ってしまった。
ようやく天気が安定して、朝から上天気だ。これはコルヴァッチに行くしかない。朝食をさっさと済まして、駅からバスを拾ってスールレイに向かう事にする。駅から1番のエンガディンバスに乗れば良い。でも時間を間違えて、駅に1番のバスはいない。次のバスまでは暫く間があく。丁度入ってきた循環バスに乗って、旧市街の学校広場で乗り換える事にする。乗り換えのタイミングは絶妙で、程なくポントレジーナからのコルヴァッチ行きに乗ることが出来た。
バスはサンモリッツのドルフを後に、オーバーエンガディンの谷に入り、湖畔の爽快なドライブルートを進む。古い街並みのシルヴァプラーナを過ぎ、ロープウェイのあるスールレイに着いた。早朝でバスで着いたのは我々2人だけ。始発までしばらく時間があるのか、駅舎にほとんど人影がない。結局始発の乗客は数組のカップルと、展望台でロケを敢行するらしい、アメリカ人の撮影隊だけだった。
始発のロープウエイが動き出した。ロープが伸びる天空はどこまでも深い青い空が広がっていた。途中ムルテルで乗り換える。
ここからさらに急角度でコルヴァッチを目指すが、風が非常に強い。途中高度のある所で一次停車するなど気をもませてくれたが、やがて早朝のコルヴァッチに到着した。
ゴンドラを出て駅舎のドアを開けて展望台の一角に出た我々をとんでもない景色が待っていた。
目の前の雪原の上には主峰ピッツベルニナが4000m級の山々を堂々と従え、氷河を懐に抱え込んで、雄大なパノラマを展開していた。青く累々とした氷河、天を切り裂く鋭峰、青く澄み切った空、夢に見た光景が眼の前に広がっていた。昨日は厚い雲に隠れていたピッツベルニナが今日は全身を惜しげもなく晒してくれた。天気が心配だった今回のスイス行き、あー雨男の汚名はこれで拭うことが出来る。
でも寒い。昨夜降ったらしい雪とも霰とも着かないものが薄っすらとテラスの路面を覆っている。風も強い。気温は0度近いかも知れない。でも陽だまりに入ればほっとする。写真を撮りながら1時間ほど展望台にいるうちに、さすがに人が増えてきた。2番、3番のゴンドラで、ツアーの人たちも上がってきた。日本からのグループも来て国際色が豊かになったところで、先に大きな行程を抱える我々は下りのゴンドラに向かった。
続く