少しアンティークな調理器具が我が家にやって来ました。ムーランレギューム、直訳すると野菜ミル、平たく言うと漉し器です。茹でた野菜を摺り下ろしてペースト状に加工する道具です。
ご覧の通り年代ものです。同じようなものは今でも手に入りますが時代に合わせてステンレス製です。これは鉄の下地に錫引きをしてあります。表面の錫がムラになって使い込まれている様子が良くわかります。60年代くらいのフランス製です。
実は持ち主のOさんが昨年急逝し、料理が好きな私にと、彼の奥様から譲り受けたものです。ハンドミキサーやフードプロセッサで楽に裏ごしを作ってしまう風潮ですが、Oさんはずっとこれを使い続け、丁寧に素材を加工していたのです。しかも年代を考えるとかなり昔からです。何事も深く極める学者さんならではの道具へのこだわりです。
早速使ってみる事にしました。今日の素材はサツマイモです。これをムーランに掛けマッシュしたお芋でスイートポテトを作ります。作るのは妻ですが・・・。
粗く切った芋を茹でてムーランに投入します。ハンドルにつながるプロペラのようなものが、素材を螺旋状の隙間に押し込んで行きます。底には小さな穴の開いた下し金がセットされます。ちょうどチーズ下ろしと同じような構造で、摺り付けられ下ろされた素材は底の下に押し出されて行きます。
このムーランの良さそうな点は、フードプロセッサやミキサーの様に強引に繊維を引き裂く事無く、やさしく素材をクリーム状にしてくれることです。まだスイートポテトは食べていませんが、多分素材の美味しさが引き出されるのではないかと期待出来ます。
夏の間に瓶詰めにしたトマトがあります。粗いカットしたまま詰めてあります。ムーランで裏ごしすれば口あたりも良くなります。ほかにいろいろ使えそうです。
OさんのこだわりはCasa Milleで引き継いで行きます。大事に使います。ありがとうございました。
話は突然変わります。今日のランチはパニーノでした。
イタリアで食べたパニーノの味が忘れられないのですが、再現しようとしてもぴったりのパンがありません。多分ロゼッタと言う種類のパンだと思いますが、普通には手に入りません。やっとそれらしいレシピを発見し、ロゼッタパンモドキを作る事ができました。
ロゼッタはドイツパンのカイザーゼンメルと共通点があるようで、型を押し付けてバラの花びらのような切れ込みを作ります。そんな型などある訳も無く、それがネックで実現が遠のいてました。発見したレシピでは紐状に成形し編み込んでロゼッタ風にしています。焼き上がったパンはオリジナルにはほど遠いようなものですが、まあ雰囲気はあるので○としましょう。
ひるがの特性の厚切りロースハムとペコリーノチーズをはさんでパニーノが出来上がりました。パンの発酵が甘かったのか少し中身の重さが気になりますが、全体のお味はヴオーノ!。なんちゃってロゼッタでも何とかなりそうです。しばらくはロゼッタパンばかり焼いてる日が続きそうです。