7月6日
ファッサ谷の山歩きも最終日。
朝から空はドピーカン。
ドロミーティに来てから最高のお天気です。
今日は少し遠出をします。
昨日モエナまで出てバスの情報を得てきました。
モエナからサンペレグリーノ峠を経由してファルカーデ行きのバスは、
モエナ発 8:50 10:50※ 14:20 18:45※ ※はサンペレグリーノ峠止まり
と言うことは山歩きに適したバスは8時50分発の一本。
で、帰りのバスは・・・
サンペレグリーノ峠発
10:10 11:45 17:45 19:36
なんとタイミングの悪いダイヤです。
山歩きして戻るには、夕方遅い時間しかありません。
別のバス会社がこのルートを走っているようですが、確実な時間を確認することができませんでした。
悩んでも始まらないので、早めに朝食を済ませ、7:58分のバスでモエナに向かいました。
モエナは大きな町です。バス停前の広場では朝市が開かれ、新鮮な野菜、フルーツ、地元で作られたチーズなど売られてました。
ここでバスを乗り換えます。
バスを待っている老夫婦(人のことは言えませんが?)にサンペレグリーノ周辺の事を尋ねてみました。
彼らは峠からポッツアディファッサ方面を目指して歩くそうです。
我々は峠周辺の山歩きだけ考えていたのですが、このルートなら帰りのバスの心配はありません。
今日のルートが決定しました。
サンペレグリーノ方面へ乗り換えたバスは定員20人ほどのマイクロバス。
休日など乗客が多い時はどうなるか余計な心配が頭をよぎります。
25分ほどで峠到着。
明るく開けた高原のスキー場が一面に広がってます。
この峠に来た理由の一つはその名前。
サンペレグリーノ・・・我が家で愛飲しているミネラルウオーターの銘柄名です。
ここから流れ出た水が、と思ったのですが、まあミネラルウオーターの方は全然違う場所に工場があるので、全く関係ないようです。
峠のすぐ南に小さな湖がありました。
サンペレグリーノ湖。静かな水面に山肌を映すきれいな湖でした。
峠に戻りリフトでコスタベッラへ。
今回は石灰岩のドロミーティ!の典型、岩ばかりの山歩きが多かったのですが、ここは一転緑が広がる放牧地が広がります。
深い紺碧の空、岩の峰、果てしなく広がる緑の絨毯。
今日の山は心を癒してくれる山歩きになりそうです。
リフトを降りて西へ604番のルートを。
行く手の稜線左のくぼんだ所に小屋が見えます。
セラ峠です。
近いように見えますが小屋までまだまだ道のりは遥かです。
明るい斜面はお花畑です。
遠く霞む山並みが墨絵のようです。
セラ峠を目指す山道が少し傾斜を増してきました。
稜線の切れ目の小屋もだいぶ近づいてきました。
でもまだ油断できません。
こちらの山でいつも感じるのですが、距離感がつかめないのです。
日本の山だったらこのくらいと言う予想が外れます。
あそこに見えるのだから後30分・・・と思うととんでもない間違い。
行けども行けども距離が縮まらない・・・のです。
スケールの違いですね。
大きいです。海外の山は。
で、やっと峠の直下まで来たのですが。
まだまだ。傾斜を増した登山道がこれでもかと続いてました。
セラ峠の小屋は見晴らしの良い稜線にありました。
まだ時間が早いので小休止だけで小屋を後にし、峠の反対方向へ下ります。
稜線の北側は氷河で削られたU字谷が広がる明るい谷筋です。
殺風景なカールだけではなく、緑の肌をまとった優しい圏谷。
時間帯によるのか、すれ違う人もまばらな静かな山道です。
ファッサ周辺の山では穴場的存在と言えるかもしれません。
圏谷の見晴らしの良い道をぐんぐん下ると緑が濃くなり潅木も現れます。
滝のような小沢も現れ、やがて谷の底の方に小屋が見えてきます。
樹林の中にひっそり立つタラメッリ小屋。
ここで昼食と思い、ベンチに腰掛けるも、いつまで経っても小屋番がオーダーに来ません。
通常こちらの山小屋ではピクニック禁止。
弁当の持ち込みはご法度なので、何か注文するのが礼儀です。
時間がかかりそうなのでここはパスすることにします。
一つ下の大きな山小屋まで、もうひと頑張り歩くことにしました。
谷底の道が立派な林道に変わるところに大きな山小屋がありました。
モンゾーニ小屋です。
ここまでは家族連れでやって来る人も多く賑わってます。
今朝バス停で情報をくれたイタリア人がここからバスがあると言ってました。
確かにこのシーズン1日数本、午後は1時間に一本程度運行してました。
バスの様子見とお腹を満たすため、小屋のデッキでランチを摂ることに。
ここでも小屋の人あまり姿を見せません。
こちらから積極的にメニューを要求して、オーダーしました。
その成果がこれ。
山小屋の食事というより立派な街のレストラン並みです。
キノコとハムのクリームソース。もちろん手打ちパスタです。
キノコはご当地名物ポルチーニ。
ハムは名産のスペックハム(生ハム)です。
美味しいです。
こんな山奥でも正統派のパスタが食べられるのがイタリア。
羨ましい環境です。
食事が済んでバスの様子を見たのですが気配がありません。
時間を見ると30分ほど先。
ぼちぼち歩いて途中でバスを止めて乗り込むか・・・と皮算用しながら歩き始めました。
整備された林道を歩きます。
林の中、ところどころ行く手に谷向こうの山々も望めます。
単調な下りをしばらく歩いてもバスに追いつかれることがなく、広い車道へ出ました。
ますます単調な車道を、疲れた足に鞭打ちながら下ること数キロ、やっとポッツアディファッサの一角に到着しました。
ここは隣町。よく歩きました。
町外れからゴンドラとリフトで展望の良いところまで登ることができます。
折角なので乗ってみることに。
ゴンドラとリフトを乗り継ぎCOL VALVACINへ。
ここから稜線通しにマルモラーダを眺めながら歩くルートもありますが、今回は展望だけ。
荒々しい岸壁をむき出しにしたマルモラーダ。
氷河を抱いた優しいマルモラーダとは対照的な風貌に驚かされます。
尾根を挟んで非対称はこの地域の山によくある姿でした。
目を北に移せばピッツボエを乗せ抱いたテーブルマウンテンの雄姿。
ファッサ谷の歩いた山々を心ゆくまで眺めることができました。
さあこれでファッサ谷の山旅が終わりました。
お天気に恵まれ、友人との再会も果たし、充実した毎日を送ることができました。
明日は移動日。
初めての知らない土地、期待が高まります。