7月3日(日)コルティナからサンタクリスティーナへ波乱の大移動。
東から西へ問題の移動日になりました。
この日が来るまで実はいろいろありました。
ドロミーティの東と西を結ぶルートですが車を持たない旅行者にとって大きな関門になります。
2000mを越える峠道が連続する街道にはバス便が走ります。
しかし西と東は州も異なり、バス会社もまったく違います。
辛うじて西と東の接点付近の峠までは細々とですがそれぞれの側から路線バスが通じてます。
ところがこれを一本のルートで結ぶ路線がないのです。
便の悪いバスを乗り継いで、なんとか超えてくることはできなくはないのですが、とても効率が悪いのです。
もう一つの手は北回り。
ドッビアーゴという街までバス。列車を乗り継いで西のブレンナー峠線の鉄路に。ブレッサノーネ、またはポンテガルデナという駅から西ドロミーティへ入るいうルートで、これも結構大変です。
当然地本の観光当局もその事情は知っていて、夏の短い間だけ少し便利なバスの通し方をします。
コルティナからファルツァレーゴ峠を越えてコルバラという西の再奥の町まで直通便が出るのです。
コルティナエクスプレスというバス会社が運営します。
コルバラまで出れば西側はSADバスと言う南チロルカバーするバスが利用でき、目的地までそれほど苦労することなく行き着くことができるのです。
このコルティナエクスプレスの夏ダイヤが発表になったのは日本を発つ直前。
これ幸いとこの日の切符をネットで買って置いたのです。
これで一安心・・・とコルティナへ乗り込んできたのですが。
なんとこの日、7月3日はバスがキャンセル。
その情報を知ったのは現地観光案内所。Kさんご夫妻とJeepタクシーを予約していた時、たまたま彼らも同じ日程で西への移動を考えていたらしく、バスターミナルで同じバスの切符を買おうとしたら、このとんでもない事実を告げられたのです。
理由は自転車レース。
この日ドロミーティの峠を巡る山岳レースが開催されたのです。
プロのロードレースというよりは東京マラソンみたいな一般参加もありの大会のようです。
レースルートがこれ。
ドンピシャ移動ルートではないですか!
思案投首、スマホを駆使してルートをあたった結果、北を大回りして西側に入ることになりました。
ルートをおさらいすると
1 コルティナからドッビアーコまでバス。
2 ドッビアーコからブルーニコまでバス。(実はここから鉄道が西側まで通じているのですが、たまたま線路工事で代替えバスに強制的に乗せられました)
3 ブルーニコからブレッサノーネまでバス。(ブルーニコから鉄道が使えたのですが、乗り換えの手間を考えてバスでブレッサノーネへ出る事を選択・・・あとで裏目に出るのですが)
4 ブレッサノーネからサンタクリスティーナまでバス。
バスをたくさん乗り継ぐ事になりますが、座っていれば着くと楽観的に考えました。
通い慣れたバスターミナルを後にドッビアーコへ。
昨日までよりコンパクトなバスです。
途中下車してハイキングに向かうらしい日本人のグループが乗り込んできました。
ドッビアーコの駅前のバス停。
ここでブルーニコ行きのバスを待ちます。
待ち時間があるのでちょっと仕込みに出かけました。
駅から少し歩いたところにインフォメーションがあります。
ここであるものを手に入れました。
南チロル全域で使えるお徳用カードです。
これでこの地域のバス、鉄道が乗り放題になります。
西のドロミーティ全域で使える旅行者には必携アイテムです。
1日、3日、7日とありますがここでは3日券を手に入れました。
理由はガルディナ谷のホテルに宿泊すると7日券がもらえるからです。
この地域に約10日滞在するので、これで無駄が出ないと言う訳です。
この先切符の心配はいらなくなりました。
順調にブルーニコでブレッサノーネ行きに乗れたまでは良かったのですが・・・
週末故の落とし穴が控えていました。
なんと道路が大渋滞。ぴくりとも動きません。
やっと動いてもすぐ停まりの牛歩前進。
ブレッサノーネには1時間近く余計にかかって到着。
予定ではゆっくりお昼を食べるはずだったのですが、次の便に忙しく乗車、結局手持ちの食料をかじっての昼食になりました。
ブレッサノーネで乗り換えたバスは350番。ガルディナ谷をセルバまで走ります。
バスはアディジェ川に沿って下流へ進んで行きます。
ポンテガルディナで谷底を離れ、いよいよ西ドロミーティの山塊に。
結構な勾配でどんどん高度を稼いで行きます。
植生が微妙に変化して針葉樹が幅を利かすようになってくると、荒々しい石灰岩の崖も現れて来て、いよいよドロミーティの懐に入って来ました。
最初に着いた大きな町がオルティゼイ。
ガルディナ谷の中心です。
街の中心地にはスポーツ屋さんなど大きな商店も連なり人通りもたくさん。
リゾートの中心的風格に溢れた街でした。
ここでバスにどっと人が乗り込んできました。
ここを起点に幾つかの人気トレッキングルートが展開しています。
終点のセルバから来た登山者がわっと乗り込んで来たと言う事です。
満員のバスはやっと目的のサンタクリスティーナに到着しました。
ずっと一緒にバスに乗って来たKさんたちとはここでお別れです。
彼らはセルバに宿を取っていました。
さあ、ここからホテルまでが大変なのです。
泊まるホテルはあの教会の下。
写真では分かりにくいですが、この坂とんでもない勾配なのです。
重いトランクを引きずりながら、心臓破りを最後の力を振り絞って登りきりました。
着いたホテルがUridl。
今回の旅の最大の情報提供者、福岡のNさんおすすめの宿です。
こじんまりした個人経営のホテル。夕食もついてるので面倒なレストラン探しも不要です。
この日もう一つイベントがありました。
Nさんがホテルを訪ねて来たのです。
たまたま同じ様な日程でドロミーティを彼女とそのお妹さん2人がこの地域を歩いてました。
私たちの到着を知って、わざわざ坂の上のホテルまで登って来てくれたのでした。
しばらく情報交換、その後彼女たちが帰るのに合わせて街に出てみる事にしました。
小さな可愛い街です。
それでもスポーツ店があったり、おいしそうなパン屋さんがあったり、面白そうです。
Nさん3姉妹とバス停で別れ、すぐそばのスーパーへ。
水、果物、お昼用の食料などなどしっかり仕入れる事が出来ました。
ホテルではディナーが待ってました。
この晩のメニュー。
メインは肉と野菜の2品から選ぶ事が出来ます。
ベジタリアンとかには優しい配慮です。
ここで5泊。この優雅なディナーが連日の山歩きの疲れを癒し、明日への活力を与えてくれたのでした。
キャンドルを点してゆったりと食事が進みます。
食事の内容は・・・いずれ紹介して行きたいと思います。
この時期の欧州は9時になってもまだ明るさが残ります。
部屋の窓からはこの地域のシンボル、サッソルンゴが。
雲がかかってますが夕陽に美しく照らし出されてました。
明日は良い天気になりますように。
おまけ。
サッソルンゴは洗面所の窓からも望めます。
便器に腰かけると間正面。
サッソルンゴは偉大な存在です。