PL-50Lのモーターが回ったところで最終仕上げに入りました。
30Lに付いていたトーンアームの方が調子が良さそうなので50Lのとトレードです。
その前に双方をバラして観察してみました。
PL-50LとPL-30Lは兄弟機種です。
PL-30L(左)は入門機、PL-50L(右)は中級機と言う扱いです。
外観的には相似形の兄弟ですが、果たして中身が気になります。
PL-50Lのモーター部
PL-30Lのモーター部
大きな違いはモーターにあるようです。
PL-50Lはモーターがアルミダイキャストのケースに収められ、カバーには防振塗料が厚く塗られています。
一方PL-30Lはアルミ色のカバーで覆われています。
カバー部分を外してみると分かるのですが、樹脂製でペラペラでした。
外周部に配置されたスイッチコントロール部は外観上同じように見えますが、アルミと樹脂の差がありました。
PL-50L
PL-30L
モーターを制御する基板のデザインは同一です。
細かく見てませんが一部デバイスの常数が違う可能性があります。
ちなみに件のツェナーは25Vが付いてました。隣の緑の抵抗が2.2Kです。PL-50Lの抵抗は2.7Kでした。なのでPL-50Lは29Vと違う値になるのでしょうか。
PL-30Lのモーターはプレーヤーのキャビネットに直付けです。
筐体自体薄手のボードのまさしくドンガラ状態。
コストの差はこういう形で現れるようです。
こちらはPL-50Lの筐体。
積層したボードをくりぬいてモーターハウジングを収めます。
アームのところも必要な部分だけ切り抜かれています。
これによりPL-30Lとの重量差は相当なものになります。
空洞とソリッドの差は出て来る音に大きな影響を与えそうです。
できれば余分な振動を拾いたくないのがターンテーブルの筐体です。
プラッター(ターンテーブル)の比較です。
左がPL-50Lのプラッターです。
アルミダイキャストの切削仕上げで同じ物のようです。
微妙に違うのが仕上げです。
PL-50Lは裏側に防振塗装が施されてます。
表面の仕上げもPL-50Lの方が丁寧です。
さていよいよトーンアームです。
まるっきり同じです。多分。
フォノケーブル端子、オートストップやアームリフターへの端子も同一です。
差し替え出来ますね。
裏側です。左がPL-50L。
リード線が短くなっていたり、アームリフターのソレノイドコイルに繋がるエナメル線につなぎ直したハンダが見られるなど、やはりいじった形跡があります。
ほとんど手が入った痕跡の無いPL-30Lのトーンアームアッセンブルを移植するのが正解のようです。
と言う顛末でPL-50Lが蘇りました。
早速視聴です。
音が出た瞬間、違いが出ました。
もやは「違いの分からない男」に両足突っ込んでいる年寄りの駄耳にも強烈なインパクトを与えます。
妻も「違う」と断言。
まあ岡目八目もありますが、良い方向に向かったのは確かです。
音の芯がはっきりします。どっしり落ち着きます。
人で言えば体幹の筋力が数段アップした様な。
楽器の輪郭もはっきりし、ソロ楽器が前に押し出て来るようです。
音場がクリヤーに広がった感じです。
兄弟機種の両機ですが中身が全く違う事が分かりました。
普及機はあくまでコスト優先。作りの部分で手を抜かれます。
兄貴分は丁寧に作られてます。親父とも言えるPL-70の血を引いた部分が多く、コストパフォーマンスは飛び抜けて良いようです。
PIONEERはこのシリーズをⅡとして受け継ぎますが、中身は似て非なるようです。
筐体やモーターなどダウングレードしたきらいがあります。
PL-50Lはこの時代のPIONEERターンテーブルとしてはベストチョイスなのかも知れません。