6N6P全段差動アンプ平衡バージョンの改造が完成し、ヘッドフォンバランス出力対応機能が追加されました。
しばらく前から計画していたプロジェクトの完結です。
新調したヘッドフォンはAKGのK 240 Studioです。
いろいろ迷った挙げ句の選択です。
バランス化の改造があるので高価なものには手を出せません。
コストパフォーマンスの良いロングセラーに白羽の矢を立ててみました。
K240の構造の特徴も選択理由に挙げられます。
コードが着脱式でミニキャノンタイプなのです。
アンバランスですから3ピンのキャノンですが、改造すれば4ピン、5ピンも使用出来るらしいのです。
AKGのホームページからサービスマニュアルをダウンロードして構造をチェックしてみました。
何となく行けそうです。
実際改造している方のホームページも参考にして情報収集。
意を決して新品のヘッドフォンをばらす事にしました。
左チャネルのコード接続部です。ミニタイプのキャノンでコードの脱着可能になります。
中央の部分の小ネジを2本外して見るとコードの引出し部分が顔を出して来ます。
各チャネル毎に色分けされた細いケーブルが見えました。
更にコネクターのピンの部分を外します。
結構な圧力ではめ込まれていて、外すのに一苦労します。
外したものは不要なので、壊しても良い覚悟で、細いドライバーでエイヤッと突いで分離しました。
3ピンのコネクターは不要なのでカットしてしまいます。
こりゃ再組立の時は大変かな・・・と感じたのですが、後ほどその予感は見事的中するのでした。
その後の作業は左右チャネルのコードの分離です。
一つにまとめられたGNDラインを分離し、LR2本づつ、Hot Coldに分けます。
4本のラインをピンにハンダ付けしてハウジングに戻せばバランス化作業終了・・・なのですが、これからイバラの道が始りました。
まずはミニキャノン端子へコードをハンダ付けする事からつまづき始めます。
ミニキャノンの5ピンですが、小さいです。
直径5ミリ程の円内に5本のピンが立っているのです。
これが曲者、半田ごての先を1本1本のピンに当てる事が出来ません。
見えないのです。
外科医の使うメガネが欲しい。
汚いハンダで妥協して、なんとか4本のピンにコードを付ける事ができました。
しかしこれを再度カバーのハウジングに戻すのが一苦労でした。
小さなピンのパーツを押し込むのですが、結構な圧力で押し込まないと入りません。
先が長くて細いニッパーで挟んでみますが、均等に押し込むのが困難です。
悪戦苦闘するうちにパーツは傷だらけ、苦労したハンダも取れかかります。
最終的にはピン部分に短いリードを付けた状態にし、ピンのベースの肉をギリギリ削ぎ落とし、なんとか収める事が出来ました。
後は間違わない様に結線し、再組立をして、なんとかバランス出力改造が終わりました。
やれやれ。
今回の改造の苦労のもとの一つはミニタイプのキャノンを選んだ事です。
ご覧の様に通常のXLRとミニのXLRはこんなにも大きさが違います。
取り回しは楽ですが作業は大変です。
もう一点。
5ピンに拘った事です。
ぺるけさんのオリジナルは5ピン仕様。
折角シールド付きの4芯コードを使うのだからここは5ピンにしてみたのです。
マイクじゃなくヘッドフォンなのでシールドの効果は・・・いたずらに作業性を悪くしただけの様でした。
苦労して出来上がったバランス入力対応のK240。
アンバランスにも対応出来る万能型のヘッドフォンが出来上がりました。
さて、改造が済んだ平衡バージョンのミニワッターで、エージングを兼ねた耳の訓練が続きそうです。