フルーツケーキを焼きました。
ドライフルーツとナッツをたっぷりと練り込み、スパイスを効かせ、洋酒の香りプンプンの、大人のケーキです。
焼いたきっかけは20年も前の出来事に遡ります。
出張で英国の展示会に出かけたおり、立ち寄ったとあるブースでの事。
接待のお茶と一緒に出て来たケーキの美味しさに感動したのです。
聞けばそこに居た御婦人の手作りケーキだとか。
ドライフルーツたっぷりで、ほんのりとラム酒の芳香が漂い、甘く濃厚な味わいに、思わず何度も美味しいと言葉に出してしまいました。
するとおばちゃん(失礼・・・社長夫人かも?)奥の方からアルミホイルに丁寧に包まれた物体を持って来ました。
「どうぞお持ち下さい。差し上げます。」
と、ホールのまんまを渡してくれたのです。
ずしりと重たいケーキをスーツケースの真ん中に包み込み、崩れないよう慎重に持ち帰った事は言うまでもありません。
そのケーキは伝統的なイギリスのフルーツケーキでした。
もちろん帰国後心ゆくまで英国グランマの味を堪能しました。
そのインパクトの強い味は深く味覚の記憶に刻み込まれ、いつか再現したいと思っていました。
そして今回ついに再現が実現したのです。
きっかけはドライフルーツです。
妻が手作りした柑橘類のピール、年末に仕込んだ干柿のラム酒付けなどドライフツーツの在庫がたくさん出来ていました。
クリスマスにパネットーネを作ったも残りがまだたっぷりありました。
ここは一番20年来の恋い焦がれた味を再現することになりました。
ネットでレシピを検索、なんちゃっても含めてたくさんレシピがヒットしました。
http://www.nhk.or.jp/kamado/recipe/52.html
結局より本物らしい「グレーテルのかまど」のレシピを参考にすることにしました。
いきなり大きいイサイズで失敗は恐いので、レシピよりも小振りなサイズで焼いてみました。
材料が贅沢な分、焼き上がりの重さは想像以上です。
英国から頂いて来たケーキもずっしりと重量感たっぷりでした。
焼き上がって完成ではありません。
表面にラム酒を刷毛で塗り込んで、じっくりと熟成させます。
一週間に一度ラム酒を塗ります。
ラップで包んで冷暗所へ保存。クッキーの缶など蓋付きの容器で保管するするのが良いらしいです。
繰り返す事一ヶ月。これで熟成は完了です。
これでやっと食べる事ができます。
出来上がったケーキは昔の記憶そのままの味でした。
熟成されたラム酒はアルコール分が飛んで奥深い芳香のみが残り鼻腔をくすぐります。
クローブやジンジャーなど癖の強いスパイスが、この特徴的なケーキを引き立てています。
かと言って全体の味を壊すような事はなく、出しゃばらずに良い仕事をしています。
ほとんど生地が見えない程に練り込まれたドライフルーツとナッツ。
バター、卵、砂糖がしっかり入ったベースに埋もれずに主役として立派に主張しています。
濃厚で重厚なケーキは食べ応えも十分でした。
20云年ぶりに実現した幻の味。
完璧な再現とまでは行ってないかも知れませんが、懐かしい味に再会することが出来ました。