さて、我々のテーブルにも主役がやって来ました。大きな白いお皿に、表面をこんがりと焼かれた骨付きの肉が鎮座しています。周りは黒く焦げていますが、ところどころきれいな生に近い肉が顔を覗かせています。白いお皿の底には赤ワインのような生々しい肉汁が溜まっています。
基本的に肉食ではない大和民族として、一瞬引いてしまうショッキングな登場です。
炭で焼いたお肉の煤けたような香りが鼻に届きます。しかし美味しさを含んだ食欲を刺激するストレートパンチ、遠い古代の記憶が呼び起こされます。(恐竜家族か!)
1Kgの肉塊は食べやすいように2つのブロックに切り分けられていました。さらに切り分けて各自のお皿に盛り分けて行きます。
小さく見えますが、厚みは3、4cmあります。上品なフレンチレストランのメインディッシュくらいは十分努めることができるサイズです。
肉はほとんど赤身で、サシはまるっきり入りません。表面はこんがり炭で炙られ肉汁をしっかり閉じ込めています。中心部はきれいなピンク色、レア—の状態です。
ナイフで小さく刻んで口に入れます。ふわーと炭の香りが広がります。思ったよりもずっと柔らかなお肉です。子牛ですから当然ですね。味付けは塩。多分とっても美味しい塩なのですね。海の塩か山の塩かわかりませんが、多分イタリアは海の塩、天然の旨味がお肉の旨さを何倍にも高めています。赤身の柔らかいお肉の旨さに思わず全員「ブォーノ!」の大合唱。
このお肉が如何に美味しかったか、それを如実に物語るのは、妻が嬉々としてレア—のお肉を平らげたことで測り知ることができます。お刺身もお肉も生は寄せ付けない彼女の舌に、フィオレンティーナはするすると入り込んで行きました。
最後の仕上げは骨についたお肉のお掃除。この部分はちょっと脂ものっていて、食べづらいけどおいしい・・・庭先のBBQなら手で持って囓るのですが・・・。
結局日本小食老人グループであったものの、4人で軽く平らげることができました。骨も随分ついていたので、実質一人200gと思えばたいしたことはないのですが、2人で食べるのには勇気がいるサイズと言う事ができます。
お肉の余韻を残しながら、デザートとカッフェで楽しいランチを締めくくることになりました。デザートの前に、リキュールとビスコッティが運ばれてきました。お酒にビスコッティを浸し、柔らかくなったのを頂きます。重くなった胃袋を刺激して、ちょっと軽くなった気がしました。
デザートはカスタードクリームのケーキでした。これは普通のケーキで味は普通、サイズだけはちょっと大柄のイタリアンサイズでした。
最後に苦いエスプレッソをグイッと胃袋に流し込んで全ての儀式が終了しました。
「イルコント ペルファヴォーレ」(昔ミラノショー取材の時にK君から教わったお愛想のイタリア語・・・覚えていた)
お勘定は締めて95ユーロ。一人2800円と言ったところで、東京でこのお値段でこのお肉を食べられるところは、無いでしょう。
もしもフィレンツェへお出かけになる機会がありましたら、一度はチャレンジして見て下さい。お店の回し者ではありませんが、損はないと断言いたします。またまた日本人で溢れかえっちゃうかな。
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昔、28年ほど前にイタリアではなく、米国はヒューストンにゆきました。
ギリーズという体育館みたいな所で、2ポンドステーキを食べた記憶が有ります。
その頃までは、「アメリカ牛肉は固くてまずい!」と言われていましたが、とても美味しく食べました。
それと比べては行けないのでしょうが・・・・
まあ、サイズだけは似ているかも??です。
イタリアのステーキも美味しいのですね。
いつか私もユーロッパ!!!
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チェルトさん
アメリカのステーキも美味しいのがありますよね。
いつの日かフィレンツェのステーキもお試し下さい。