最近結構ショッキングな事実を知りました。それは2冊の雑誌のことです。モダンジャズの専門誌「スイングジャーナル」と自動車専門誌「カーグラフィック」です。その2冊が、それぞれ事情は異なりますが、危ういことに面しているのでした。
スイングジャーナル誌(以下SJ)は戦後のジャズ界をジャーナリズムとして支えてきた名門です。そのSJ誌が7月号で休刊になると言うことです。休刊とは聞こえが良いですが、まず復刊は見込まれないのではないでしょうか。
と言う事は、SJ選定のゴールドディスクはなくなってしまうのでしょうか。メガホン持った変なおっさんが最敬礼する姿も見られなくなるのでしょうか。これから先、貧乏年金生活者は何を基準に少ない資金でCDを購入すれば良いのでしょうか・・・。
かく言う私も、もう10年以上SJ誌を自腹で買うことはありませんでした。適当に図書館で借りて読んでました。読者も減れば、広告も減り、ネットのお陰で紙媒体はジリ貧の状態・・・これじゃ確かに苦しいでしょうね。
この事態を知り隣町の本屋へ足を運んで6月号を購入してきました。確かに薄くなってます。記事のボリュームは減ってないようですが、明らかに広告ページが少なくなってます。
内容はいつもと変わらず、あと一号でなくなる雑誌には到底思えませんでした。最終前号の特集はビル・エバンスとアート・ペッパーのディスコグラフィー。よりによって私のフェイバリットが並んでます。今号はよして最終号だけ買おうと思ってましたが、ついつい手が出てしまいました。
さてもう一つショッキングな事はカーグラフィックの転身です。あの辛口記事で国産車メーカーを目の敵?にしていたカーグラフィック(以下CG)も、SJ同様世の大波には逆らえず、苦境に立たされているようです。
創立以来支えてきた二弦社が手を引き、新たに独立したスタッフで運営され発行されるようになったと言う事です。日本の自動車専門誌の中で確固たる地位を築き、その厳正で的確な車の評価は我々ユーザーにとって貴重なバイブルでした。
車に対する考え方を根本的に変えてくれたのもCGでした。欧州車の、走るために進化したメカニズムを創刊当時から訴え続けたのもCGです。ハンドリングはこうあるべきだ、サスペンションはこうでなくてはならないと、単なる移動のための道具を、走る喜びを与えてくれる道具として見直すきっかけをつけてくれたのがCGでした。
私の昔の本棚には重たいCGが山の様に詰まっていました。読んだら捨てられる・・・そんな雑誌の概念を覆してくれたのもCGでした。車は日々進歩しても、CGの記事が古びることはありませんでした。
でも今この家の本棚にあるCGはたった数冊です。引越の時にほとんど処分してしまいました。当然最近CGを買った事はありません。だいいち軽自動車しか持たない貧乏家庭には毒ですから・・・。紙媒体の宿命と同時に、最近の若者の車離れの影響も大きいのかも知れません。
久しぶりに手に取った新生CG誌。とてもスリムになりました。広告も少なく、見るものにとってはとても印象が良くなりました。内容については、歴代CGの編集方針を貫く流れは止めないことになっているようですが、区切りがついて変化したことは否めないようです。私は最近全然見てないのでその辺りはノーコメントです。
日本のその筋のエンスージャストを育てて来た2大専門誌の危機、まさかの時代の訪れを予言しているようで、淋しいを通り越して恐ろしい世の中になってきたというのが実感です。ネット環境では得られない紙媒体の良さも大事に残して欲しいものです。あのサイクリング専門誌は、まだ頑張っているのですから・・・。
実は夕べ、SJ誌のページをぺらぺらとめくっているうちに、何故かパソコンを開き、amazonでポチッとしてしまいました。紙とネットの融合、私見たいのが大勢いれば両立するのに。