2007年6月26日(火)
第6日目 夜 サンモリッツ–>プント・ムラーユ–>ムオッタス・ムラーユ(往復)
長い1日が終わり、ホテルに戻り一汗流して、レストランに行くと、連泊仲間のN御夫妻がすでに食事を始められていた。いつも大体同じ時間に食事を摂るので、この時間がお互いの情報収集の場になっていた。スイス通いの大先輩の上に、よく調べられているので、その情報を大変有意義に使わせて頂いた。
ところで今日のディナーのメインはお肉だった。豪気にドドーンと厚切りでしかも大判の肉が大きなお皿に鎮座していた。味は良いのだが、少々固め。「馬の肉?って言ってたような・・・」と、すでにお肉の姿がだいぶ小さくなったお皿を差しながらN夫人が教えてくれた。
赤身で日本の牛のような脂身が皆無だったので、やっぱり馬さんだったのかも知れない。
いつも食事しながら本日の成果を報告しあう。
我が家はコルバッチからロゼック谷に行ったこと。とても良かった事を報告。
Nさん達はソーリオへ行かれた事を報せてくれた。ソーリオ行きのバスは超満員で、ソーリオの村は観光客で賑わっていたらしい。ソーリオの手前でバスを降り、静かな山間をソーリオに向われたようで、さすがにこのコースは人が少なく、3人くらいしかバスを降りなかったという。我々もソーリオへの計画もあったので興味深く情報をお聞きした。
大きなお肉を胃袋に押し込んで、デザートもしっかり完食してお腹をさすりながら部屋に戻る。しばらくして内線が鳴る。はて、と受話器を握ると、相手はN夫人だった。
よろしければ今からムオッタス・ムラーユの展望台まで夜景を見に行きませんか?とのお誘いだった。すでに9時近い。でも、ケーブルカーは11時過ぎまで動いているし、プント・ムラーユからの帰りのバスも11時過ぎでも走ってるはず、と事前の調査は完璧だ。
少し着込んでサンモリッツ駅の広場のバス停に向かう。さすがに駅の人影は疎らである。まだ空には残照が残っていて、日本の感覚だと夕方の6時の雰囲気だ。
バスはサンモリッツの旧市街を抜け、中世の面影を残すチェレリーナの狭い路地を抜け、サメダンを通過してプントムラーユへ向かう。バスを降りると目の前にケーブルカーの駅舎があった。次の発車までしばらく時間がある。閑散とした待合所で時間を潰しているうちに辺りは随分薄暗くなってきた。
ケーブルカーは迫りくる闇から逃げるように、大きなタンネの林の中の一直線の線路をまだいくらか明るさを残す空をめがけて引き上げられていった。林が切れてアルプの中を上がるようになると視界も一気に開けてくる。頂上駅とホテルの光に吸い込まれるようにケーブカーは頂点に達して停車した。
展望台に出た。2500mもあるからか気温はかなり下がってきた。
イン川に沿って広がる平地と湖、そのところどころに幾つかの塊になって、チラチラと灯りが点っていた。
西の空はまだ明かりを残し、幾つかの連なる湖は蒼黒く反射している。厚い雲が稜線すれすれを覆い、その僅かの隙間から名残り惜しむかのような残光が見えていた。
灯りは段々明るさを増し、寒さは次第に厳しさを増してくる。
遠くの稜線と空の区別がつかなくなるまで粘って、サンモリッツの夜景に別れを告げた。
(続く)