© 2006 pico6. All rights reserved.

日本一予約の取れないレストラン

Bettola02怪しい風景だ。どこか場末の路地裏、もうとっくに日が暮れているのに、店先には明かりも無く、裸で置かれた古椅子に腰をかけて何やら待ちわびる風の中年紳士淑女。
実はここは銀座の東の外れ。あの「日本一予約の取れないレストラン」で有名な落合務シェフが率いるLA BETTOLA Da Ochiai の店頭だ。先日来なかなかつながらないとぼやきながら電話をしている妻が、いきなり偶然電話がつながって、予約を確認していると、電話に出た係りの口から「本日キャンセルが出たの空いてますよ」との一言。出会い頭の偶然、咄嗟に席を確保して、中途だった仕事をさっさと片付けて、地下鉄直通の西武線に飛び乗ったのである。
新富町で降りて、頭の中に叩き込んできたお店の場所を目指していると、暗がりの中になんだか人がたくさんいる気配がして来て、突き当たったのが冒頭の写真の様子だ。
Bettola01_1  ディナータイムは6時半と9時の2部制らしく、今回取れたのは6時30分。20分くらい前に着いたのだが、結構早めに来ている人が多くて、暗がりに人波の状況だ。待つこと久しく、6時半。やっと店頭にも灯りがともり、うやうやしく御入場の運びとなった。予約を確認、席に案内される。中央のカウンター横の厨房を背中にした席。すぐ脇の厨房につながるカウンタには「落合シェフ」がいる。厨房に入りっぱなしではなく、ここで全体を見たり、電話を取ったりしている。シェフ自ら予約を受けているらしい。
 さて、いよいよ本番。メニューをとくと閲覧。しげしげ見ても埒はあかないのだが、このチャンスに何を食べるか多いに迷う。妻はAB型なので更に迷う。多分メニューだけ見て1時間は楽にかける事ができるのだが、ここは時間の制限もあるので適当な区切りでメニューに決着を付けてもらう。
まずはワイン。妻はフルーティーな甘口。私はちょっと辛めのを。どっちも旨い。
さて前菜。
Bettola04  私は生ハムとサラミの盛り合わせ。旨いです。やっぱり切りたての生ハムはパック品とは雲泥の差。乾いたようで、ジューシーな味わいは。ちょっと水っぽいパック品には無い食感。アミノ酸たっぷり、旨みが凝縮、少々塩分が高いのが高血圧に問題だが、たまには良いか。サラミもプリプリで結構でした。大昔イタリアで食べたプロシュートクルード思い出しました。

Bettola05  さて妻が注文したのは穴子。塩で素焼きして、バルサミコのソースをかけたもの。これがまたシンプルで美味しい。穴子の旨みが塩で焼かれてジンワリと。付け合せの野菜にかけられた米粒を揚げた(焼いた)トッピングに妻は興味津々でした。
さあ、前菜が出揃ったところで、まあ期待通りの展開に満足。次に出てくるパスタが楽しみ。結構料理が出てくるペースが欧州並みなので、気が短い人はウエイターに「まーだ?」なんて催促しそうですが、ちゃんとオーダーは入ってます。隣近所の皿を覗き込んで、フムフム、あれも良さげだね、今度来るときは・・・と結構暇はつぶせる。
Bettola06_1
でもって、パスタが来たのだが、普段の食い意地の悪さは隠しようも無く、一気に喉の奥へ流し込んで、はっと気がついたとき、皿の上は写真の状況。今回は克明に料理を撮ろうと思ったのに、悔やんでも遅い。
実はこれ名物「生ウニのクリームパスタ」。まあシェフの料理本で見て,試しに作ったことがあるのでびっくりするほどの感激は無かったけど、一気に食わせる実力は流石。生ウニ苦手な妻も美味しいと評価。ただ塩味が結構きつく、その分別な旨みを感じたのかもしれない。高血圧で塩分控えめの自分的には、倍以上の塩が入っている感じ。このくらいきつい味付けしないとイタリアンって感じも弱いのかな。
妻はキノコのクリームパスタ。予想を裏切ってキノコの姿をとどめないほど微塵に切ったキノコがクリームソースになっている。ポルチーニがベースだろうが、珍しいキノコも入っていても誰もわからない。旨いけど、もう少し野暮ったくキノコが入ったソースが見たかった。
パスタの量は70g前後?少々物足り無い量で、イタリア人が来たら大盛りでも頼むのだろうか、食べ残すのはもったいないが、いやーこの量は・・・って驚きながら食べる本場のイタリア料理とは少々一線を画している。まあ胃の小さい日本人にはこれで良いのかも知れない。サービスで出てくるパンとフォカッチャが馬鹿うまなので、せっせとお代わりして、だいぶパンでお腹は膨れてきて、結果は満腹状態でした。
Bettola07_1  でもっていよいよメイン。これもやっちゃいました。写真と気がついたときは半分は胃袋へ。
牛頬肉のワイン煮込み。冬が近いので煮込み料理を食べたかったのです。味は驚くほどの事はなく、以前豚肉でワイン煮を作ったことがあるが、イメージとして大きな差は無い。付け合せのマッシュポテトは想像以上にクリーミーだった。
 妻はスペアリブの煮込み。これも際立った驚きはなく、メインディッシュは外したかな・・・。
隣で注文していたミックスグリル、シンプルな肉のグリルは見た目ボリュームもたっぷりで、少し後悔させられたメインのチョイスだった。
Bettola08
デザートは別メニュー。ブルーベリーのタルトと洋ナシのコンポートにした。タルトに乗ったブルーベリーは大粒でジューシー、ナチュラルな具合がGOOD。コンポートは洋ナシは缶詰風だがジェラートが旨かった。
最後にカプチーノを飲んでコースを締めくくった。
今日の総括。
日本一予約の・・・果たしてその実態は?
はっきり言って肩すかしかな。期待が大きすぎたのかも知れないが、目から鱗、舌が抜け落ちる事はなく、旨いけど常識・想像の範囲内。まあ何の予備知識も無くいきなり連れてこられたら感激するかもしれないが、期待が大きかっただけに反動も大きい。手前味噌だが、たまに作るパスタも家庭の味としてはまあまあのレベルであると検証できたのが最大の収穫だったかもしれない。
でも一度は経験してることをお薦めする。方法はまめに電話を入れること。キャンセルがあればすかさず押さえること。そうすればイタリアの台所にお邪魔することができる。

コメントを残す

Your email address will not be published.
Required fields are marked:*

*