7月10日(月)最後の山旅はシウジ高原再訪。
山歩きとしての最終日を迎えました。
今日もすっきりしたお天気になりそうです。
明るい食堂で朝食。朝食時間は7時からなので、一番で入るとまだ誰もいません。
セルフサービスのビュッフェですが、卵料理は専門のおばさんがいて注文通りに調理していただけます。
怪しい英語と指差しで、なんとか具材を伝え、特製のオムレツを焼いてもらってます。
完成。家では作らない贅沢なオムレツの完成です。
食堂が混んでくると順番待ちの列ができます。
早起きは三文の得。待たずに美味しいものをゲットできました。
今日は先日歩いたシウジ高原に向かいます。
ここのバス停からシウジまで直通バスがあったのです。
利用しない手はありません。
今日は西のシウジを歩くことにしました。
バスはティーレス谷の小さな集落を縫うように走ります。
アディジェ川まで下りずに山を超えてUmes経由で直接シウジまでのルートです。
普通車でも道幅いっぱいの山里の道をバスがすり抜けてゆきます。
運転上手。少し広い道では時速60㎞かそれ以上で、しかも勾配のある山道をガンガン飛ばします。
たまにブラインドコーナーの向こうからセンターラインギリギリに攻めるライダーが現れます。
運転手さんは躊躇なく急ブレーキと巧みなハンドル操作で、何事もなかったようにやり過ごします。
慣れない我々はその度に足を踏ん張って態勢を維持します。
この便のバスに限ってシートベルトのない市街地仕様のバスなのでした。
45分ほどでシウジ高原に上がるゴンドラ駅に着きました。
シウジ高原の西端に特異な姿を見せていたテーブルマウンテンのシリアル山と、ちょんと突き出たサントナーの岩峰のすぐ下からゴンドラが高原に上がってました。
ゴンドラの高原駅のコンパッチからは広大なシウジの展望が広がります。
高級なリゾートホテルが立ち並ぶコンパッチの町外れからトレールが始まります。
まずは7番のルート。
7番をたどる目的地の案内がずらっと並んでます。
この時点ではSattlerヒュッテあたりまで上がって、それから適当に道を拾いながらコンパッチへ戻るつもりでした。
2時台に帰りの直通バスがあるので、それに乗ってホテルに戻り、おやつを食べるという算段です。
山の疲れも溜まってきたので、軽く歩くことにするつもりでした。
シウジの西は穏やかな緑の原がどこまで続いてました。
シリアル山と放牧地、日がな一日マットでも敷いてゴロンとしていたくなります。
広い道はお約束のように結構な勾配で続きます。
7番と6番との交差点で西へ6番に入ります。
程なくリフトの終点パノラマです。
パノラマから2番。前方に壁のように岩尾根が連なってました。
車が走る車道から本格的なトレッキングルートに変わりました。
7番の広い道に合流する手前に2番の分岐がありました。
この辺りを歩く人たちはこの2番が目当てらしく、老若男女、家族連れ、結構賑やかなトレールです。
ここからもしばらくは穏やかな牧草地です。
木道も出てきて湿原っぽいところもありました。
花が咲き乱れてます。
小道と交差しました。
13番で予定のSattlerヒュッテへ向かう道です。
ここで実はミスコース。
はっきり13番の矢印を見ていながら、どんどん皆さんまっすぐ行くので、ついついつられてそのまま2番を進んでしまいました。
自分的にはちゃんとSattlerヒュッテへ向かっているつもりで歩いていたので始末が悪い。
少し急な登りも出てきて、見晴らしも良くなります。
でも小屋らしいものや、小屋へ向かうだろう小道もありません。
だんだん道は岩混じりになって、本格的な山道になります。
小高いところで休んでいる人がいます。
こっちも小休止して現在地を確認します。
どうやら2番ルートを奥深く入ってしまったようです。
こうなったら覚悟します。行く手に待ち構えるガレ場を乗り越え、尾根の向こう側にあるアルペ・デ・ティーレス小屋へ出るしかありません。
結局長くてハードな2番ルートを踏破することになりました。
沢を越える岩場を乗り切ると、そこは圏谷の底。
涸沢のカールのミニチュア版的地形です。
ガラガラの涸れ沢に大きくジグザクの道が付けられてます。ざっと勘定したところ、折り返しは10くらい。
10回ターンを繰り返すと、少し窪んだコルに着くのだと言い聞かせながら、単調な登りにつきました。
取り付きからの標高差はざっと300m。1時間も頑張れば着くはずです。
一歩一歩ジワーと高度を稼いで行きます。
ジグザクが切られているおかげで、とんでもない勾配ではなく、ゆっくり進めば体を徐々に高みに運ぶことができます。
振り返ると登り始めの地点ははるか下方に。
狭いコルが見えてきました。
それまで尾根の壁に遮られていた南側の山の頭が見えてきました。
やっと到着。
峠超えを選んだ甲斐がありました。
水平移動のトレッキングだけでは物足りなさが残ります。山はやっぱり自分の足で高度を稼ぐ・・・その気持ち良さを味わうことができました。
東を望むとのっぺりした山が。
これサッソピアットなんですね。
角度によってはサッソルンゴと競うように鋭い峰を天に突き上げているのですが、西から見ると平たく大きな岩の斜面。
この形状がお皿(ピアット)と呼ばれる由縁だということがよく分かります。
コルの北側の急な道を下ります。
南側の谷は緑で覆われ、ずっと上の方まで放牧場になっている様子です。
下りきるとそこには赤い屋根の大きな山小屋がありました。
アルペ・デ・ティーレス小屋です。
人で溢れてます。ここは人気のコースなのですね。
小屋でほんの一息入れ、すぐに8番ルートで下山開始。
ここも放牧のための管理道路?道幅が広く路面は整備されています。
でも勾配がきつく、鼻歌混じりによそ見しながら・・・というわけにはまいりません。
しっかり膝のクッションをきかし、靴底のフリクションを最大に利用しないと、足元をすくわれてしまいます。
なかなか疲れます。
この勾配のある車道歩きをどうこなすか、がドロミーティアルプ歩きのツボですね。
濃い青空、深い緑、針のような岩峰。
天を駆け抜けるように馬たちが自由に草を食んでます。
アルペデシウジはどこまで行っても放牧場でした。
8番から7番に入ります。
シウジらしい森と草地のうねりの中を、アップダウンを繰り返しながら、コンパッチに戻りました。
結局軽く流すつもりのはずが、ぐるっと大回りのルートになり、この日も3万歩近く歩きました。
2時にバスには乗れず4時のバスでホテルに戻りました。
ホテル到着は5時。
あー今日はおやつは無し・・・とホテルに戻ると、ホテルのテラスにはまだアフタヌーンティー中の人がちらほら。
係りの人に聞いてみたらまだセーフ。
もちろんしっかり頂くことになりました。
今夜は最後のディナー。
それを祝って・・・ではなくて、日曜日の特別イベント?らしく、まずはアペリティフとおつまみがロビーで提供されました。
これがディナーの始まり。生の演奏も入ってます。
この後コースが始まって、最後のメニューが出てきたのは9時頃でした。
明日はここを出て最終の目的地ベネチアへ向かいます。
荷造りは明日にして早々にベッドに入りました。
この日で山歩きの日程は終わりました。
予定していた山々をほぼ歩くことができました。
天候も後半安定してドロミーティらしい景色を堪能することができました。
花もたくさん見ました。
その咲き方に感動しまた。花の量が多いのです。キンポウゲやアルケミラモーリスは下草のように生い茂ってました。
エーデルワイスも見ることができました。
ドロミーティの山々は良い意味で期待を裏切ってくれました。
今回訪れた山域が割合いおとなしいところだったせいかもしれませんが、行く前に抱いていた人を簡単に寄せ付けない荒々しい山・・・ではありませんでした。
思っていたよりもずっと緑が多く豊かな自然が広がってました。
奇怪な岩山が林立する無機質な山ではなかったのです。
特に南チロルの山は、広大なアルプと岩山のコントラストが絶妙で、スイスの山にもひけをとらない美しさがあります。
一度その味を知ると、再び訪れてみたくなる、そんな魔力を秘めた山でした。
また行ってみたい海外の山に新たな一項目が加えられたのでした。
今回の旅にあたり計画面では福岡のNさんに大変お世話になりました。
宿のこと、交通アクセスのこと、山歩きのコースのことなどなど、豊富な経験から適切なアドバイをいただきました。
おかげで初めての南チロルを十二分に楽しむことができました。
ありがとうございました。
他にも偶然出会ったKさんご夫妻。同じように初めてのドロミーティで同じ悩みを抱えながらの旅をしていました。
偶然コルティナダンペッツォで出会い、色々情報交換ができて心強い思いをしました。
改めて感謝する次第です。
ぐちぐちとつまらない文章で綴った山旅編はこれで終わります。
お付き合いありがとうございました。