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イタリアの山を歩いてきました(11)

7月9日(土)カレッツァ湖を見て、ローゼンガルテン(カテナッチョ)の山腹を歩く。

心地よいホテルの朝が明けました。
1日の晴天を約束するようにすっきりした青空が、ローゼンガルテンの上に広がってます。

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朝食はもちろんセルフ。
でもそのメニューは豊富で、目移りします。
朝からこんなに果物も用意されてました。

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深みにはまると出発できないので、抑えて抑えて・・・でもお皿は今朝も山盛りでした。

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ホテルの前からニグラ峠を越えてパオリーナへ行くバスを捕まえます。
まだ朝早いバスなので乗客はそれほど多くはありませんでした。

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パオリーナはローゼンガルテン山塊わけ東端の麓です。
緑の裾を大きく広げて荒々しい岩山が聳えていました。
折角なのでここで寄り道です。
ドロミテ街道随一の観光名所、カレッツァ湖まで足を伸ばしてみることにしました。
さっきのバスで来るとパオリーナでカレッツァ湖方面へ向かうバスに乗り継ぎができるのですが、バスが遅れて到着。
予定していたバスは出た後。
30分ほど歩けばその湖に出るので、街道脇の小道を行くことにしました。

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林の中の小道の途中で立派なホテルが現れます。
背後の山がラテマール。
穂高をバックにした上高地の高級ホテルの佇まいでした。

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ホテルの先の街道を横切ったところに標識。
そこからさらに森の中に分け入って行きます。
これが最短距離で湖を目指す道のようです。

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深い林の中、我が家のまわりの山道を歩いているようです。
こんな道で良いのかな、と不信感が湧いてくる頃、やっと目的の湖が近いことを知らせる道標が出てきました。

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広い周遊道と合流、湖を見渡す小広いところが現れました。
湖面に樅の林が写り込んでます。
これですね。綺麗な色の湖です。思ったよりも小さめ。
しかしここは絶景スポットの対岸。
まだ絶景はお預けでした。

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朝もやが立ち込め、鬱蒼とした林を半周したところでその全容が姿を現してきました。

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エメラルドグリーンの湖面、黒木の森、ラテマールの岩山・・・この三要素が描き出す一枚の絵。
ガイドブックや観光写真でよく見た光景がそこにあるのです。

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風が少しありわずかな波が立って、湖面の映り込みがクリヤーでないのが残念です。
この地域を訪れるツアー客がまず訪れるであろう事が頷ける絶景でした。
早朝でまだ人影が少なかったのですが、日中はこの展望デッキは人で埋まることでしょう。

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湖からはバスでパオリーナへ戻りました。
パオリーナからローゼンガルテン山群南端へリフトで上がります。
リフトの終点がパオリーナヒュッテ。

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ここからいくつか人気のルートがあって、続々とハイカーやクライマーが上がってきてました。
この周辺の案内が不足していたので、無難な552番北上の山腹トラバース道をローゼンガルテンヒュッテまで辿ることにしました。

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北のローゼンガルテンへ連なる岩の峰々を仰ぎ見ならが、樹林まじりの道は、岩壁に刻まれた沢を何本か横切りながら進んで行きます。

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大きな沢は岩壁状に侵食され、地層むき出しの迫力で覆いかぶさります。

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垂直に切り立つ岩壁の裾をすり抜けます。
首が痛くなるほど見上げても、岩壁の全体を見ることができないほどのスケールに圧倒されます。

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気持ち高度を上げているうちに、樹木の姿は少なくなり、ゴロゴロした岩も出てきます。
見晴らしの良い小高いところに出てきました。
先ほど湖面に映る姿を見たラテマール山の格好の展望台です。

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これから先ずっとこのラテマールに見守られながら、トラバース道は続いて行きます。
552番が549番と合流するあたりに人が固まっていました。
何事?

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すると前方から走ってくる集団がやってきました。
この日この登山ルートでトレールランの大会が行われていたのです。
次々と選手がやってきます。

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結構な速度で駆け上って行きます。
その先しばらくの間、選手たちとのすれ違いが続きました。
幸い道幅は広く、立ち止まって道の端に寄れば、選手たちの走行に妨げにはなりませんでした。
盛んなのですね。今回の山では走ってトレーニングに励む愛好者をたくさん見かけました。

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遠くに小屋が見えてきました。
ローゼンガルテンヒュッテです。
下からリフトが上がってきてます。

このように見えてからが長いのはここでも同じでした。
やっと小屋が指呼の間となったところで最後のしごき。

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広い林道です。ここも下から車で上がれるようになってるのです。
見た目よりずっと手強い勾配です。
一歩一歩最後の力を振り絞ります。

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気合が入る看板が登場。
小屋のレストランのメニューで疲れた体に鞭打ち。
空いてるであろうお腹に訴えかけてました。

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そのお誘いに素直に乗ることしました。
ちょっと早めですがランチにします。
早速パスタを注文しました。

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山の上とは言えちゃんとしたパスタが出てきました。
下界のようにアルデンテと気取るわけには行きませんが、しっかり歯ごたえがあり、ソースも良いお味です。
山小屋のメニューですが概ね満足できます。
難点は量が半端ではないこと。2人分のボリュームが出てきます。

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小屋の裏手から岩場のルートが始まってます。
ここからコルを超えて東の谷に抜けたり、ローゼンガルテンの高みを目指したり、幾つかルートがあります。
一般道でもあるので気軽に入る人もいましたが、完全装備で岩場へ向かう人もいました。
装備があればヴィアフェラータという岩登りが楽しめます。
ワイヤーなどで整備された岩のコースを、カラビナ付きの確保ロープで自己確保して踏破します。

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お腹を満たして下山開始。
リフトは使わず今度は1番ルートでニグラ峠へ下りて行きます。
急勾配の林道歩きです。
足元は良いので展望を満喫しながら高度を下げて行きます。・

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ローゼンガルテンを見上げる牧場を過ぎた頃から林の中を歩くようになります。
今日も晴天で気温がどんどん上がってきました。
でも林の中は快適です。
黒い森のフィトンチッドを全身に浴びながらの森林浴。
心も洗われるようです。

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今回スマホをだいぶ活用しました。
現地でそれを使うために海外用のWiFi機器を成田で借りました。
山でも通信圏内ならスマホの機能をほぼ使うことができます。
山の中で役立った機能がGPSです。

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特に現在地の確認に力を発揮してもらいました。
Geographicaと言う地図アプリのお世話になりました。
現地の地図をダウンロードして表示してくれます。
自分の歩いたルートを記録したり、標高や歩行キロなど詳細な情報も記録に残ります。
残念ながらまだ使い方をマスターしてなくて、結局は位置確認のGPS機能で満足してました。

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バイクのエクゾーストノートが響いてきました。
程なくニグラ峠に到着。
バスが来るまでの間小屋でカフェタイム。
峠道は賑やかでした。
サイクリスト、大きなバイク、スポーツカー・・・
峠は動く乗り物の天国、イタリア人は無類の峠好きだと認識しました。

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峠を下りたところがホテルでした。
午後のティータイムを満喫。
そろそろ終わりが近づいてきた山旅。
明日はどこを歩こうか、締めくくりの山を考えながら、甘いお菓子を口に運んでいました。

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ホテルにはいろんな設備が整ってました。
スパもありました。でも残念、水着がなくて入ることはできませんでした。
ジムやボルダリング用の壁、子供遊戯室など、宿泊者を飽きさせない工夫が満載。
気の利いた施設では写真の様に靴のための乾燥部屋も。
泥を落とすための回転ブラシや靴磨きも整ってます。
そしてこれは靴の乾燥システム。壁から出ている棒に靴を差し込みます。
ラック状のこの器具。電熱でほんわか暖かくなってます。
強制的に靴を乾かすシステムです。部屋ごとに指定の場所があって管理されてました。

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いよいよディナー。
マットが昨夜と違います。次の日も変わっていました。
連泊客が多いこちらのリゾート。これも飽きさせないおもてなしなのでしょうね。

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ディナーが終わる頃、このホテル最大のイベント、ローゼンガルテンの夕焼けが始まりました。
雲ひとつなく暗闇が迫り始めた大空に、くっきりと茜色に染まる岩山が浮かび上がりました。
これが見たくてこのホテルに泊まる、そんな人が多いと聞きます。
ホテル裏手の牧草地に出て、ゆっくりと変化してゆく千金の夕焼けを眺めていました。

さあ明日は山旅最終日、良い締めくくりができますように。

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