真冬のイタリア旅行記(1)フィレンツェ編 クーポラ登山の巻


2011年2月、旅のコストが最も安いこの時期を狙い、小淵沢の隣組?5人でイタリア珍道中に繰り出しました。

支離滅裂なイタリア日記、いきなりルネサンスの聖地フィレンツェから始めます。
ローマからユーロスターでフィレンツェまで約1.5時間の旅、時差呆けの身体を気の利いたB&Bで癒し少し体力も回復したところで、好天を幸いにちょっとした山登りに挑戦です。
山登りと言っても、登るのは建物です。フィレンツェの象徴、サンタマリア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラ(ドーム)に登ろうという算段です。高さは約100m、約15分で登れるかな。ハイシーズンでは長大な順番待ちを入れて数時間かかる事もあるとか。でもこの時期観光客は少なく順番待ちの心配は無さそうです。しかし大事をとって朝一番の登頂を目指しました。


B&Bから途中気の利いたお店の並ぶ通りを西に向かい、郵便局の先でクーポラが見える通りに入ります。狭い石畳の通りをミニバスや車が走り抜けます。路肩には犬の落とし物などもあってちょっと歩き難い道ですが、ぐんぐん迫ってくるクーポラに気分が高揚して行きます。

大聖堂に到着。正面から北側に回り込むと、工事の足場の下にクーポラの入り口がありました。登りルートはクーポラの北側らしいです。入場料を支払いいよいよクーポラ登山の始まりです。

〈その2へ続く〉


石で積まれた狭く薄暗い階段を黙々と登り始めます。ところどころ明けられた明かり取りの窓からは少しづつ低くなって行く街並みの瓦屋根が見えています。
少し息があがり、持ち上げる脚が重くなった頃、中間地点のテラスに出ました。ここはバザーリの「最後の晩餐」のフレスコ画が描かれているドームの天井分を間近に見ることが出来ます。


ここからさらに道は狭まり、螺旋階段や下りルートへの分岐を過ぎてゆくと、いよいよクーポラの天井部分の最後の登りになります。二重構造の天井と屋根の隙間を登ります。登り下り共通になった狭い階段はすれ違いが難しそうで、混雑時の渋滞はさぞやと想像できます。でも今日はほとんどすれ違う人も無くスムースに登れます。
下から見たクーポラの屋根の急な曲面に沿って静々と登行は続きます。


いよいよ最後の大詰めにかかりました。クーポラの頭頂部を登る階段が現れました。急な階段には丈夫な鉄の手すりが付けられています。長年、何人もの手を支え続けた鉄の手すりは、錆びた鉄の粗い凹凸があるものの、大勢の手で磨かれ黒光りしていました。


頭頂部の階段を登り切ったところにテラスがあり、そこから青空が顔を覗かせていました。いよいよ展望台に到着です。
所要時間は12分。多分最盛期にはどんな健脚でも達成出来ない記録でしょう。真冬に訪れた特権ですね。

展望台には絶景が待っていました。オレンジ色の甍の連なる街並みが整然と並んでいます。ところどころには教会のドームやお城の尖塔などが垣間見えます。すぐ隣には同じような高さで聳えるジョットの鐘楼があり、同じように展望台でパノラマを満喫している人たちを確認出来ます。


クーポラの急角度な屋根をのぞき込んでみました。ブレネレスキがやっと完成させた聖堂の屋根、とても500年も前の人間が完成させたとは思えない技術の高さに感激します。

天気に恵まれ良い経験をしました。山登りとまでは行きませんが、聖なる高みに登ったことで、気持ちがとても爽やかで清々しくなりました。

旅行日 2011年2月15日

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