30年振りの信州峠

 物置に放っておいたTOEIのランドナーを何とか現役に戻す事ができました。そこで兼ねてからお誘いのあった山と無線仲間のZさんのリクエストを実現するサイクリングに出かける事になりました。

 行く先は信州峠です。思い起こせば30年前NC誌連載企画林道ガイドの一つとして取り上げた場所です。この時は高須林道経由でぐるっと一回りのルートを走りました。まあ大昔のこと故ほとんど記憶になく、バックナンバーを出してきてやっと記憶の断片を引きずり出すありさまです。

 今日も最初の計画ではNCガイドの逆コース、信州峠ー高須林道で行こうと思ったのですが、なまった身体で一日2つの大きな峠越えは無理だろうと、結局軟弱な川上側からの峠越えになりました。でも侮っていた川上側からの信州峠で、もはや自転車乗りの身体ではない事が露呈しがっかりするのですが。

 さていよいよ決行の時がやってきました。台風接近のお陰で天気は曇天。朝方の気温も低めでこの時期のサイクリングのコンディションとしては最高です。

 今日の作戦は車を2台使います。まずは北杜市須玉あたりに1台デポ、もう1台で自転車とサイクリストをスタート地点の清里に運びます。つまり清里起点で信州峠を越え、黒森からみずがき湖を経て須玉へひたすら下って来ると言うルートです。
 須玉の農産物直売所?見たいな施設に車を停めて清里へ。R141萌木の村少し上の路側帯駐車スペースに車を置いていよいよスタートです。

 しばらく141を辿り、野辺山駅に続く旧道に逸れます。林の中の静かな道、ここで換えたばかりのフリーをチェック。問題ないようです。道は自然な地形をトレースしてアップダウンを繰り返します。この辺りではまだインナーギアの出番じゃない、と余裕でペダルを回していました。

 ほどなく小海線の踏切が現れました。そうそうここが国鉄最高地点です。動向のZさんも鉄分たっぷりなので、躊躇無く記念のワンショット。そこからは鉄路に沿ってひと踏みで野辺山駅に到着です。

 辺りは高原野菜の畑が遠くまで続いています。残念ながら八ヶ岳は雲の中でしたが、男山から天狗山へ連なる稜線はくっきりと浮かび上がっていました。

 野辺山駅の近くの「二つ山」に寄り道します。野辺山神社の裏手を一登り、展望の無い雑木林の中に赤テープを巻かれた木が一本。山頂の標識代わりに誰かが付けたものらしい。

 川上までは下り気味に進みます。勿体ない。川上駅の手前で県道を信州峠の道標に導かれて右折。この道を直進すると梓山方面、我々はちょっと走ったところでもう一度右折していよいよ信州峠へ向かって登り始めます。

 右折してすぐは結構きつい上りです。それまでアウターで頑張って来たのですが、ついにインナーにシフトします。一気にスピードが落ちます。そしてロー・ローの泥沼地獄へと落ちて行くのです。
 最初の上りをクリヤーすると開けた高原野菜の畑に出ます。今はレタスが最盛期です。ジョンデアーやクボタのトラクターが行き交います。軽トラックの荷台に人が。外国人の研修生でしょうか、畑で農作業していたのはほとんど中国か東南アジアから来た若者のようでした。
 この辺りの作物は信州清浄野菜とかで売られているはずですが、多分農薬を散布しているだろう光景にもでくわしました。乾燥が続いたので水やりかも知れないのですが、トラクターの横に広げられた長ーいパイプのノズルから霧が出ています。でもただの水ではないムッとした違和感を感じました。絶対怪しい・・・自分の畑の野菜だけが信用できます。

 さあいよいよ信州峠アプローチ名物?の直線の上りが始まりました。まっすぐしかも上へ行く程勾配が強くなっているのが手に取るように分かります。じわじわと進みますが坂の頂点は一向に近づいてきません。ギアが一段一段落とされて行きます。速度は反比例して落ちて行きます。
 直線の最後の方でついに足を着いてしまいました。水分補給・・・と来た道を振り返ると、サイクリストの集団がやってきました。ロードバイクでスイスイと軽やかに登ってきます。一人は外人、我々も仲間かと勘違いしてました。さっさと追い抜いて行きました。

 ここから峠までが試練でした。勾配から言えば対した事はなく、距離も僅かです。でもここ何十年まともに自転車にまたがっていないのですから、まあ仕方ないです。だいいちコラエ性が欠如してます。カーブを曲がるたびに、峠であってくれと切ない祈りの連続で、そのうちZさんの後ろ姿も見えなくなりました。
 道の左右が切通し状に変化し、辛さが頂点に達した頃、やっと県境の標識が目に飛び込んできました。信州峠に着いたのです。

 峠には何故か道標がありませんでした。昔は立派なものが建てられていたように記憶してるのですが、陰も形もありません。横尾山登山口の標識があるので間違いは無いようです。
 昼食後登山道に上がって何とか信州峠と刻まれた標識を発見。自転車を持ち上げて一枚シャッターを切っておきました。

 峠からはひたすら下ります。急勾配でブレーキを握る手が麻痺しそうです。旧型のブレーキのせいか、経年変化したブレーキパッドのせいか、全然制動が効きません。怖いので思いっきりゆっくりした速度でそろそろ降りて行きます。またまたZさんが見えなくなります。黒森あたりまで来てやっと勾配緩んできました。
 大昔の取材の時は黒森側から峠へ上がったのですが、さすが若かりし頃、良く登っもので今じゃ絶対登りたくない峠道です。

 ここから須玉まではのどかな山里が続いてます。どこかパターソンの世界を彷彿とさせる景色もあったりして、のどかな気分にさせてくれます。
 でも気温は急に上昇してきました。信州峠は寒いくらいだったのに、しかも湿度が高いのでし。まあほとんど下りですから快適に風を切ってる分には爽快です。

 御門の集落で清里への分岐を見送ります。ここから高須林道経由で清里へ抜けられますが、標高差400m以上の峠越えがあるはずで、とても今の私では・・・

 みずがき湖を過ぎ増富からの道と合流、交通量は次第に増えてきます。3連休とのことで県外ナンバーばかりです。でも県外ナンバーはサイクリストにとって優しくない!とZさんは嘆いてました。

 途中根古屋神社の大ケヤキを見物、ちょっと登り返しもあって疲れが見え始めた頃、朝車をデポした駐車場に到着しました。
 走行距離約46Km、久しぶりの足慣らしとしてはそこそこの距離だと自己満足です。

 自転車を積み込んで141号線を清里めがけて走り始めました。駐車スペースに戻りこれで完璧に本日の行程が終了しました。
 実はZさんの愛車もジムニーです。ほとんど同じような仕様の2台のジムニーに活躍してもらった1日でもありました。

 ところで自転車のレストアはほぼ完成に近づきました。乗っての問題はなさそうです。あとは装備品、ライトやバッグなどを考える事になりそうです。
 フロントバッグのない旅行車はちょっと間抜けですよね。

コメントを残す

Your email address will not be published.
Required fields are marked:*

*