岐阜県北西部の大日岳山麓に広がるひるがの高原まで出かけて来ました。以前高山でハム工房の責任者をしていた友人のYさんがこの高原に新しくスモークの工房を開く事になりました。夏の終わりから始まっていた建物の工事も終わり、いよいよ操業開始、と言う事で落成のお祝いを兼ねての遊山旅です。
中央道、東海環状自動車道、東海北陸自動車道と、とっとこ走ってひるがの高原SAに到着。目の前に大日ヶ岳が大きな裾野を広げて聳えています。山肌にはくっきりとスキー場の切り開きが刻まれ、すでに真っ白です。人工雪かも知れませんが、先日の冷え込みでこの辺りでも新雪が数cm降ったようで、駐車場にもなごり雪があり、山肌の白さは本物の雪のようです。
大日ヶ岳の左手には白山の真っ白な山頂も望む事も出来ます。18年ほど前の9月の連休に、福井側の経ヶ岳、荒島岳、そしてこの大日ヶ岳まで遠征に来た事があります。大日ヶ岳スキー場のリフト小屋でサンマを焼いて夕餉にした記憶が蘇ってきました。
スマートインターから一般道へ出て10分ほどで目的地の分水嶺公園に到着。この奥の雑木林の中に新しい瀟洒な小屋が見えました。スイスフリークのYさんらしく、大屋根のシャレー風の建物で、窓には赤い鎧戸も付いています。気分はスイスの山小屋・・・十分雰囲気が出ています。
ところで分水嶺と名付けられた公園が気になります。その昔開拓に入った方が大日ヶ岳からこの地まで農業用水を引いたところ、ここから水が左右に振り分て流れて行ったそうです。片や太平洋へ、もう一方は日本海へ、とまさに分水嶺の発見です。それを記念して公園として整備しているそうです。
そんな自然豊かな環境の中でSimple is Bestを旗印に手造りのベーコンとロースハムを作るのです。原料は豚肉(当たり前?)、それに塩をすり込んでゆっくり時間をかけて熟成させ、サクラのチップでじっくりスモークします。原料はシンプル、不要な添加物は一切入らない本物のベーコンです。
Yさんのベーコンは塩の加減が絶妙で、塩っ辛さを感じません。アンデスの紅塩なのでミネラル分が豊富で旨味があります。スモークもきつく無く、ほんのりサクラのチップの芳香が残り、料理に使ってもスモーク臭が邪魔をしません。
この味を知ったらスーパーのベーコンは食べられません。そんな訳でファンがたくさん、一日も早くYさんのベーコンの登場が待たれています。
これがもう一つの顔、ロースベーコンです。お肉の部位はロースですからロースハムと同じです。ただハムの場合茹でる行程が入りますが、このロースベーコンは塩漬け熟成とスモークだけで処理されます。もちろん生食可能なのは言うまでもありません。日本では工程上ベーコンに区分されるようです。
普通のロースハムとは微妙に異なる食感がありますが、私的には好みの味です。Yさんのおすすめは厚めに切ってのハムステーキ。熱々のを豪快に頬張る贅沢は何とも言えません。
私はちょっと全粒粉や穀類、ナッツの入ったパンで挟んだサンドイッチが・・・。パン焼かなくちゃ・・・。
まだ小舎は出来たばかりで生産はごく少量だそうです。来年になれば生産は軌道に乗って注文に応じる事が出来る様になるようです。今回は写真だけでその美味しさのかけらをお届けします。気になる方がございましたら私の方までご連絡ください。たっぷりとマージンを取ってお取り次ぎいたします(冗談です・・・)。
ひるがの高原は高度約1000m、小淵沢と同じような環境の拠点が一つ増えました。少し遠いのが玉にきずですがこれから何度もお邪魔するお気に入りポイントになりそうです。