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SWISS紀行2007 その21 ランドバッサー橋に寄り道してチューリッヒへ

2007年6月29日(金) 
第9日目 サンモリッツ–>フィリズール>–>ランドヴァッサー橋展望台>–>フィリズール>–>チューリッヒ>

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 いよいよ旅もフィナーレを迎えた。慣れ親しんだサンモリッツとも今朝でお別れだ。
 駅前のホテルを早朝にチェックアウト、駅へ。荷物は出してあるのでザックだけで動ける。
 ホームには今日もティラノに向かうABeの重連が待機している。何度もお世話になった編成でお互いお馴染みさん?で、しばしの別れが少々淋しい。
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 ベルニナ線の電車部隊に代わって、今日は本線とも言えるアルブラ線にお世話になる。
 電車型のABeに牽かれるベルニナ線と違って、大編成の列車を、名だたる急勾配のアルブラ線で引っ張るこちらの主役はスタイリッシュな電気機関車だ。Ge4/4?、RhBの主力電機の3代目で、メインルートの主な編成はこれが担ってる。一世代前の赤い丸みを帯びたデザインのGe4/4?は他の路線で頑張っている。 さて今日はいよいよチューリッヒへ戻る。いろいろ行動を考えたが、結局ここで一つ思い切りよく「鉄ちゃん」する事にした。まあ今回のスイス行は山・ハイキングがメインだが、もう一つRhBに直に触れる事にある。我が家のミニRhBを完成させるための資料集めでもある。そこで帰りのルート上にあるあの有名なランドバッサー橋を地上から眺める計画を実行する事にした。
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 クール行きの普通列車はアルブラ線を下り始めた。サメダンを過ぎてゆっくりと山に向かい始める。小奇麗なシュピナスの駅舎が見えてきた。交換もあってか一時停車。(シュピナスは大体の列車は停まるようです)
やがて汽笛一発「ピヒューッ」・・・・・静々と最高地点のアルブラトンネルへ入っていった。そう長くは無いトンネルを抜けるとプレダと言うこじんまりした駅が現れた。この二つの駅を結ぶ峠越えのハイキングルートがある。今回は歩けなかったが、いつか歩いてみたい。
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 トンネルの向こう側がこの路線のハイライトだ。大きな蛇がのたうつように、くねくねと、ある時は谷川を高い鉄橋で跨ぎ、ある時はループのトンネルで一気に高度を下げる。行く手の線路が眼下に大きく高度を下げて続いているいろは坂のような展開だ。ラックレールを使わない、摩擦だけで上り下りするこだわりの山岳路線がこのアルブラ線だ。世界遺産にこの路線をとRhBがあちこちでキャンペーンをしている。現代では逆に造る事のできないそんな路線なのだ。
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 ダボスへの支線の分岐でもあるフィリズールで下車する。
 この駅がランドヴァッサー橋の最寄り駅だ。秩父の山奥の駅みたいな雰囲気だが、ダボスへ乗り換える人もいて、列車が入ると少し賑やかになる。
 駅前の指導標を確認、駅舎を背に右方面の道に入る。
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 静かな村だ。人影は殆ど無い。暫く歩いて右手に線路をくぐる道が見えてくる。ガードをくぐって緩い坂道を進むと、再び線路が近づいてくる。もう一つ指導標が現れてきて、線路沿いに林の中の小道を行くように促される。
鬱蒼としたタンネの林の道は、薄暗く、奥武蔵や奥多摩の植林帯の道を思い起こさせる。
そんな小道を進むこと数分で目的地に到着した。
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鬱蒼とした林が切れた断崖の縁に朽ちかけた木製のベンチがぽつんと置かれている。陽が当たらなくてジメジメした空間で、とても目的が無ければ訪れて楽しい空間ではない。でも木の間越しににランドヴァッサー橋が見えるのは確かで、好き物は多いらしく、急峻な崖の縁には少しでも良いアングルをと彷徨ったような踏み跡が結構危ない場所まで続いていた。
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  ここで小一時間粘ってみた。最低でものぼり1本、下り1本は列車を見ることができる勘定だ。

 遠く列車の音を感じて身構える。やがて赤い糸のようにつながって列車が近づいてくる。高い橋脚を震わせながらゴーッと列車が走り抜けてゆく。意外と早い。谷の奥には明るいアルプが開けている。深い谷に架かる橋の上を幾本かの列車が過ぎるのを見届けて、次の列車に乗るために駅に戻り始めた。
 駅まで戻り、時間が少しあるので駅舎のカフェでお茶をしながらマッタリとした時を過ごす。ダボス方面から列車が近づいてきた。あの、気になってた大きなベルがティンティンと可愛らしく接近を報せた。
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 フィリズールから再び普通列車でクールを目指す。
 ついさっき遠くから眺めていたランドヴァッサー橋を超えて行く。駅を出て程なく小さなトンネルに入る。いきなり出口がランドヴァッサー橋だ。氷河急行やベルニナ急行ならここで車内放送があるが、普通列車にそんなサービスはない。こっちは知っているのでトンネルの中で立ち上がり、顰蹙覚悟で窓を開け、カメラを構えて出口を待つ。出た瞬間に半身を乗り出してトンネル方向を振り返りざまにシャッターを切り続ける。
 ここで乗客からも一斉に歓声が上がる。この橋、遠くで見るよりも乗ってた方が数倍楽しい。絶対。
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 一大イベントを終えた列車は谷に沿って少しづつ高度を下げてゆく。いくつかトンネルも抜けてゆくと、ありました。気になる駅の一つ、SOLIS駅だ。我が家のミニRhB線の駅舎が実はこの駅をプロトタイプにしている。シャレー風の木造で、この小さな駅を有名にしたのは、一面お花でディスプレーされていたからだ。でもそれは大分昔の話で、廃駅になったらしく、多分個人の所有になったのかも知れないが、昔の面影は残しているものの、その規模は随分縮小していてがっかりした。
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この写真でも結構花が沢山あるが、最盛期はこんなものではなく、前面の芝の部分はお花畑でそれは見事なものだった。(と言う写真を見ただけですが)

 山間を抜け、ライン川の開けた谷を走って列車はクールに到着。クールの街に出てみようと思っていたが、別に当ては無く、ちょうどチューリッヒに向かうICが出るのでそれに飛び乗って座席を探した。さすがここからはスイスの中心部、そこそこ列車も混んでいて、何とか進行方向右側の2階席を確保した。
 クールから暫く山っぽい車窓風景が続くが、いくつか湖をやり過ごし、最後に大きなチューリッヒ湖沿いの明るい風景の中を走り続けて、はあーっ、チューリッヒに到着した。
長いような、短いような、充実した旅の締めくくりの場所に到着したのだ。
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 チューリッヒはさすが大都会だ。部分的には東京にいるのと変わらない。街もゴミだらけで汚い。昨日までいた清潔できれいな街は何処に行ったの?
 妻の機嫌が芳しくない。こんな都会を見るためにスイスに来たんじゃない。確かにそうだ。買い物は趣味じゃない。そこで浮かび上がったのが動物園。早速トラムを利用して動物園に向かう。
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市街の中心からトラムに乗った。終点に動物園がある路線だ。案内所で「ZOO ズー」って聞いたら「ZOO スー」って首を傾けながら教えてくれた。
 駅の横をすり抜け、山手の郊外に向かう。少し高度を上げて、丘の上の高級住宅街を抜けて程なく終点に着いた。小さい子供たちが遠足に沢山来ている。そうか今日は平日だ。
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 トラムの終点から動物園の入り口までは少し距離がある。途中大きなお屋敷や、大学の研究施設みたいな緑豊かな住宅地の横を抜けて、人の数が随分と多くなってきた頃動物園の大きな看板が現れた。
 動物園の入場料は22CHFと2000円を超える。入場券と何故かお菓子を一緒に渡される。高いような・・・でもそれは中に入って納得の金額と判明する。
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 小高い山の上にあるこの動物園、環境がすこぶるよろしい。緑を極力残してレイアウトされていて、柵や檻も巧みに配置され、見る側も、見られる側もストレスが少ないように考えてある。
 清潔な動物小屋には、動物を刺激しないように裏から生態を観察できるような仕掛けがそこここにしてあり、見学者を飽きさせない。
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動物が伸び伸びとしている姿を見るのは楽しい。
小さく不潔な小屋に押し込まれてストレスだらけのかわいそうな動物を見るのは忍びない。
通路を歩いていたらいきなり駱駝が現れた。逃げているのではなく、散歩中だった。仕切られた柵の中をぐるぐる回らされるのではなく、ちゃんと付き添いがいて、ゆったりと自分の行きたいように歩いている。人間的?動物的に恵まれた環境なんだと思う。駱駝の眼がそう言っていた。
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 園内のあちこちには高い立ち木の天辺にコウノトリの巣があった。もちろんその上に金網もない。
 悠々と子育てをしている。飛んで行ってしまえばそれまでだ。性善説をわきまえたコウノトリはたおやかに来園者を迎えている。時間が無いので全ての動物をゆっくり見ることはできなかった。でも十分2000円強の価値はあった。ここはチューリッヒのおすすめスポットです。
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 楽しかった動物園をあとに、再びトラムに乗って駅に戻った。ここで少し買い物をして、再びトラムで今晩の宿へと向かった。そこでまたまた劇的な出会いがあるとも知らずに・・・。

<続く>

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