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SWISS紀行2007 その7 ベルニナ線でティラノへ1

2007年6月25日(月) 
第5日目 サンモリッツ–>ティラノ–>ディアボレッツァ–>ポントレジーナ–>サンモリッツ
Part1

 サンモリッツに腰を落ち着けての行動が始まった。天気の具合と体力の状態に合わせて何パターンもの行動計画を立ててきたので、今日からは朝の様子を判断して、あっち、こっち、へ行く事になる。
 初日の今日は天気がいまいちなので、ベルニナ線で遠征する事にした。国境を越えてイタリアのティラノへシーニックルート列車の旅だ。
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 まずは腹ごしらえ。朝食のメニューは決して豪華ではないが十分満足できる内容だった。
 美味しいパン。クリーミーなチーズ。肉の旨み溢れるハム。もちろんフルーツやヨーグルトもたっぷり用意されている。朝から幸せな気分だ。おまけに食堂から駅が見える。昨日乗ってきた淡いブルーのパノラマカーがホームに滑り込んでくる様子も、コーヒーをすすりながら見ることが出来る。
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 駅のホームまでホテルからはほんの1分もかからない。45分発の列車に乗るために30分ごろホームに行った。電車と言うか列車はすでにスタンバイOKだ。
 編成はABe型動力車2連に何両かの客車が連結されている。列車の走る姿を撮りたいので最後尾に行く。一等車がいる。でも残念サボにリザーブのプリントが貼ってあった。普通に乗れる1stは先頭のABeの2両のみなので、仕方なく先頭車両に乗り込んだ。そこには先客がいた。と言っても運転手と車掌が休んでいた。我々が入ってゆくと慌てた顔をして御愛想笑いを返してきた。車掌は若くて背の高い美人の女性だった。その後この車内には他の乗客は現れなかった。
 車掌は箱を出て行くついでに検札も済ませていった。
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 列車は緑深い森林とトンネルを抜け、うねうねと蛇のように蛇行しながら、徐々に山に入って行った。ポントレジーナでシュクオルから来る線と連絡し、いよいよベルニナ線の核心部へと汽笛を鳴らし、レールを軋ませながらゆっくりと高度を上げる。モルテラッチュの駅の先で氷河を遠望する。列車から見る初めての氷河に感動、これから先の期待も一気に膨らんでくる。
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 広く開けた明るい谷間の原野を走り、ディアボレッツァへ向かうロープウエイ駅を過ぎ、大きな湖ラーゴビアンコが見えてきて、列車はオスピッツォベルニナに到着する。白と言うより白っぽいグリーンの氷河特有の水を湛えた湖水の向こうには氷河を抱いた山が迫る。でも残念ながら雲に覆われて氷河は見えない。たくさんの人を降ろしてゆっくりと列車は次のポイント、アルプグリュムを目指す。ラーゴビアンコの大きな堰堤を見ながら、スノーシェッドやトンネルを抜け、鋭いヘアピンを描いて大きく高度を下げてゆく。時おりパリュー氷河方面の谷が開けるが、残念ながら雲の中。でもその手前の稜線の上に小さな山小屋が見える。今回行きたいと思っている「サッサール・マソーネ」だ。
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 アルプグリュムは観光客でごった返していた。ここで折り返す人が多いようで、団体用に繋がれて来た車両はここで大部分空っぽになっていた。
 2000mほどの最高地点を過ぎて、イタリア領に近づいてくると、天気が回復してきて、青空の量も多くなってきた。気温もぐっと上がってきた。
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 列車はぐるぐると左右に円を描きながら一気に高度を下げた。ポスキアーボを過ぎ大きな湖の湖畔を走り抜ける。途中一般道と並行して列車が走るのはなかなか経験できない風景だ。日本にも国道と並行して走る区間はあるが、軌道の敷設の仕方が違うのか路面電車のようだ。
 ますます集落と列車の交わりが増えてくる。さあここで大きなイベントがやって来た。あの有名なブルジオのオープンループだ。ブルジオの駅に到着する直前、交換ですれ違うティラノからの列車が、丁度石造りのループ橋を渡っているところだった。ブルジオで入れ違い、今度は我々の乗った列車がオープンループに突入した。
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 ゆっくりと発車した列車は徐々に速度を上げ件のループに進入する。キリキリと悲鳴に近い音を立てながら、列車は精一杯に体をねじりながら石の橋を下り始めた。ぐるっと一周、眼が回るように旋廻すると、さっき下ってきた線路が頭の上にあった。蛇のように長い列車だったら縛って固結びになってしまいそうだ。
 イベントをやり過ごした列車は何事もなく進行する。国境もそのまますり抜けて、いよいよイタリア領に列車は入った。パスポートコントロールもない代わりに、車窓の景色が微妙に変わったことでイタリアに入ったと言う実感が沸いてくる。神経質なほど綺麗なスイスの街から、ちょっと生活臭のある街に変わったのが顕著な変化だ。
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 列車はほとんど路面電車のように街の軒を掠めながら、陽気で明るいイタリアの街「ティラノ」に到着した。日本語の看板が出迎えてくれた。

続く

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